4月に公開された『劇場版 名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』。
今作をもって遂に20作目となりましたが、同作の興行収入が50億円を突破し、16作目(『名探偵コナン 11人目のストライカー』)以降毎年更新し続けている前年の興行収入越えの記録を今年も更新しました。
ファンとして嬉しい限りです。
そこで、今回は『名探偵コナン 純黒の悪夢』について綴ろうと思います。
つきましては、長文となりますことをご了承ください。
コナン(新一)の宿敵といえば、”黒ずくめの組織”ですが、今作はその”黒ずくめの組織”との対決がテーマとなっており、コナンファン待望の内容となっていたと思います。
カーチェイスを始め迫力のあるシーンが多く、個人的には満足の行く内容でした。
もっとも、これはあくまでも、『劇場版 名探偵コナン』という今作に限っての感想であり、『名探偵コナン』という作品の1つとして位置づけるとなると不満も残ります。
鑑賞者の中にも、
「「名探偵」という推理ものの作品のはずなのに、推理の要素がなかった」
「キャラクターの性格(設定)がおかしい」
といった酷評をされる方(映画のレビューを書かれた方)がおられました。
思うところは人それぞれでしょうが、私としては、特にキャラクターの性格について不満がありました。
まず、他の方が指摘されていた「推理の要素がなかった」という点ですが、これは、内容の都合上仕方ないと思われます。
といいますのも、今回のテーマは、「黒ずくめの組織との対決」ですので、犯人らしい犯人は予定されていないからです。強いて犯人を挙げるなら”黒ずくめの組織”ということになるでしょう。
過去の作品で、”黒ずくめの組織”が登場したのは、『天国へのカウントダウン』と『漆黒の追跡者(チェイサー)』でしたが、それら2つの作品では、”黒ずくめの組織”とは関係のない別の事件が発生し、当該事件と”黒ずくめの組織”の陰謀が錯綜していたので推理の要素が入る余地がありました。
しかし、今作は、あくまでも”黒ずくめの組織”との直接対決がテーマですので、要は、コナンが”組織”の陰謀を阻止するか、または、”組織”の秘密を握るか(”組織”にどれだけ近づくことができるか)、ということが今作の見所なのだと思うのです。
したがって、今作に前作までのような事件を解決するための推理を求めるのは困難であると思います。
しかし、キャラクターの扱い方については疑問があります。そのキャラクターというのは、探偵団の子供(歩美・元太・光彦)たち、目暮警部を始めとする警察関係者、蘭・小五郎・園子、そして今作の重要人物である”黒ずくめの組織”の”ジン”です。
まず探偵団の子ども(歩美・元太・光彦)たちについてですが、はっきり言って見ていてイラつきました。彼らが周囲の大人たちの言うことを聞かずわがままを言うのは今作に始まったことではありませんが、今作では特に目に余るものがありました。
東都水族館でのアトラクション利用料金を阿笠博士にたかることに始まり、施設内で元太が事故に遭ったあと医務室において阿笠博士を罵り、毎度のことながらコナンや灰原、阿笠博士の言うことは聞かないなど、子どものわがままにしては度が過ぎる言動が見られます。
そして、私が特に気になったのは、高木刑事や園子に対する態度です。高木刑事は警察内部にいる友達として、園子は本編の舞台となる東都水族館に入るためのパス(財布)として扱っており、まるで、自分たちの便利屋のようでした。
はっきり言って、
「お前等、何様だよ」
と、思いました。
他方で、子供たちはキュラソー(声 天海祐希さん)が警察に保護された後、監視下にあるキュラソーへの接見を許されておりますが、それは目暮警部などの警察関係者から子供たちが特別扱いされているからです。どのような人物か不明な段階で子供たちに接見を許可することには疑問があります。この点、コナンや子供たちが小五郎にくっついて事情聴取に立ち会い、口をはさんで追い出されるというシーンはよく見ますが、今回のシーンとは状況が明らかに異なります。
また、蘭・園子・小五郎たちは蚊帳の外のような扱われ方でした。”組織”との対決に縁のない方々ですが、もう少し活躍する場面があっても良かったと思います。
そして、問題なのは、”ジン”です。
ジンの性格は残忍かつ冷酷で、たとえ組織のメンバーであってもミスをした者には制裁を加えるという一面があり組織に対する忠誠心が高いことで知られている人物です。
他方では、あらゆる分野に精通するスペシャリストという一面も持っており、特に、鋭い洞察力と観察力という点においては、コナンや服部、FBIの赤井や公安の安室にも引けを取らないといえるでしょう。
こうした性格を踏まえて今作を見ると、別人のような性格になっているように感じました。
そもそも、”ジン”が”新一”を薬で小さくしたのは、”ウォッカ”が拳銃で”新一”を殺害しようとしたところを『ジェットコースター殺人事件』の捜査に来ていた警察に銃声を聞かれることを懸念したからだったはずです。
とすれば、裏切り者のキュラソーを殺害すべく狙撃するという行為自体は”ジン”の性格を反映しているように見えますが、近くに警察や公安がいることを知っているのに狙撃に固執したのは明らかに冷静さを欠いており、本来の”ジン”の姿とは程遠いように感じました。
今作の内容に満足できただけに、これらの点については残念に思いました。
ここまで、冒頭の「今作に満足した」との感想とは裏腹にいろいろと不満を綴らせていただきましたが、劇場版としての今作は良い作品だったと思います。私のように細かなところにこだわって不満に感じるのは、普段から原作を読んでいる熱狂的なファンくらいでしょう。
「原作は読まないが劇場版は見ている(または興味がある)」
というような方にとっては十分に楽しめる作品となっておりました。
なお、今作の『純黒の悪夢』は、既にノベライズ化されており、Amazon の児童書・推理小説カテゴリーにて1位となっております。
レビューによりますと、映画ではカットされている場面もあるそうです。
興味のある方はお読みになってみてはいかがでしょうか。
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ちなみに、来年は”服部平次”が出るようです。