私は立ち上がって言ってやった。



彼は確かに死んだけど別れてないよ!



これは昨夜の話。
昨日の夕方に電話があった。相手は彼の死去を知った時に錯乱した私に、救いの言葉をくれた霊感持ちの彼女・・・なら嬉しかったけど、その彼女の彼氏だった。知り合ってから30年近くになり、建前上では兄貴のように接している男性だった。


本音は違う。

実は私、何とも思っていない・・・30年前に初対面した時からね。


その兄貴が仲間内で飲むそうで、皆も私の知り合いだから久々に一緒にってことで誘ってくれたのだ。私はてっきりお世話になった彼女も呼んでいると思ったのに、彼女を誘ってなくて来なかった。


店に着くと懐かしい面々ばかりだった。兄貴は上機嫌で偉そうにしていたが、当然、手ぶらで支払う気は・・・ない。


仲間内の中に俗に言われる勝ち組エリートがいて、その人がいつでも払っている。

その兄貴を筆頭に、金を稼ぐ大変さがわからない乞食のような連中は、時々その人を呼び出して飲食を集り、金銭の無心をすることもあるらしいと聞いたこともある。


ガブガブ飲みまくって同じ話を怒鳴るように繰り返す兄貴を見ていて、嫌な予感がした。

案の定、「ローズ、ごめんな。彼氏が死んだこと話しちゃったよ」だって。

すると待ってましたと言わんばかりに、乞食共のATMと化している勝ち組エリート男が、瞳を輝かせて私をジッと見る。私は腹を括りつつ、感情に麻酔をかけて覚悟を決めた。


昔っから説教好きで、ダラダラ能書きを垂れ流す人だが、幸いに彼との関係性への説教はなかった。その代わり、「指輪していると次の恋のチャンスを逃すよね」「ローズはイケてるのに勿体ない」と始まった。


そこからが長かった!


私もそろそろ感情の麻酔も切れる頃で、元気で陽気で勝気な妹分の芝居も限界に達しつつあった。それなのに一向に能書きの終わる気配もなく、面倒臭くなったからキッパリと事実を言ってやっただけ。


死んで終わりじゃないのは確かだ。

彼の肉体がこの世に存在しないだけで、魂は私の傍にいる。


別に啖呵切ったつもりはないし、決意表明でもない。