本多劇場で上演中の、上田誠作・演出・ヨーロッパ企画第42回公演『切り裂かないけど攫いはするジャック』を観てきました。

 

25周年を迎えたヨーロッパ企画ですが、劇団員みんなでエチュードをしながら劇を作る方法は変わらないとのことで、どの作品にもワイワイとアイデアを出し合っている自由さと楽しさが反映されている気がします。

そしてそれをとりまとめる演出家の上田さんの手腕にも関心します。

 

今回は、19世紀のロンドンが舞台の、ミステリーコメデイ。

カーテンコールで、「ネタバレは絶対にしないでください。ネタバレしているのを見つけたら攫いに行きます」と言っていたので(笑)、言いつけを守って、ネタバレなしで簡単な感想を。

 

 

 

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2023年10月1日(日)13時

本多劇場

作・演出 上田誠

出演 永野宗典 諏訪雅 石田剛太 角田貴志 酒井善史 内田倭史 金丸慎太郎 岡嶋秀昭 早織 藤谷理子 藤松祥子 土佐和成 中川晴樹

 

 

 

まず、タイトルがいいですよね。

「切り裂きジャック」を連想させながら、「切り裂かない」とあるので、まずハードルを下げてくれている感じ。でも「攫いはする」ので、いったい誰が?何のために?と興味をそそられます。

 

私はミステリーの手法にそんなにこだわりはないので、謎解きの部分と、泥臭いコメディの部分が、ゆるく融合しているように思えて楽しめました。

 

「切り裂きジャック」が現れる少し前のこと、ロンドンで人が攫われる事件が続き、いつしか人はその犯人を「人攫いジャック」と呼ぶように。

 

犯人をつかまえるべく、警部(永野宗典)が捜査を開始しますが、街の人々が勝手な推理を展開するもんだから、いっこうに進まない。

そこに推理好きのクインテイ夫人(藤谷理子)が加わって持論を展開すると、よけいややこしくなり、

 

さらに新たな人物がからんでからの、事件の真相とそういう方向に行くの?というクライマックス!

 

私にとってのヨーロッパ企画の作品は、気軽に観ることができるジャンルのもので、今回もオーソドックスなコメディの手法に大いに笑いましたが、

以前観た作品に比べて、今に通じる社会事象への風刺や皮肉がこめられているように感じました。

 

ある場面では、リアルな世界での出来事を連想してゾッとしたりしましたが、私がセンシティブになっているのかしら…

 

ともあれ、警部を演じた永野宗典さんが周りに振り回されるところは相変わらずキュートでしたし、藤谷理子さんのキレッキレの台詞が耳に心地よかった。

それぞれのキャラクターがばっちりはまっているのは、ヨーロッパ企画の作品作りならではかもしれませんね。

 

ヨーロッパ企画の作品はそう多く観ていないので、過去作も観てみたかったなあ、と思っていたんですが、最近契約した配信サービスで観れるのがわかって嬉しい!となっている私です。

過去作も観つつ、次回作にも期待したいと思います。