ホリプロ版のミュージカル・『デスノートThe Musical』を観てきました。
今回は、
①歌う浦井健治さんを観たい
②鋼太郎さんは死神のリュークをどう演じる?
③あの原作を舞台にするとどんな感じ?
っていう興味があって、雨の中、日生劇場へ向かいました。
2015年4月20日(月)マチネ
日生劇場
原作・「DEATH NOTE」(集英社ジャンプコミックス)
音楽・フランク・ワイルドホーン
作詞・ジャック・マーフィー
脚本・アイヴァン・メンチェル
演出・栗山民也
出演・浦井健治 小池徹平 唯月ふうか 前島亜美 濱田めぐみ 吉田鋼太郎
鹿賀丈史 他
『デスノート』は、漫画、映画ともに観ていて、もうずい分前なので細かい部分は覚えていないけど、今回の舞台は、なかなかコンパクトにまとめたなあ、という印象。
でも、やっぱり私はミュージカル界のよい観客ではないのだなあ、とちょっとアウェイ感を感じつつの感想です。(ネタばれを含んでいます)
(1)歌う浦井健治さん
浦井さんのことは、『ベッジ・パードン』 、『MIWA』でしか観たことがなくて、あまり印象に残る役ではなく、一度歌う浦井さんを観てみたいと思っていました。で、今回、夜神 月(やがみライト)役の浦井さん。
まずですね、
あの、茶色のサラサラな髪が大変よろしい!!!
以前、『ガラスの仮面』を舞台化するときに蜷川幸雄さんが、漫画を舞台化するときは、キャラクターにとことん似せる方法と、全く似せない方法がある、と言っていましたが、浦井さんのサラサラヘアーは、私的に夜神月のイメージにぴったり!
そして、カッコ可愛い!スタイルもいいのね。
って、浦井さん、『仮面ライダークウガ』の怪人役(人間の格好の時)だったんだ!思い出した!白シャツ着てたよね、確か。で、ビジュアル系のメイクで。
『仮面ライダークウガ』は、息子が小さいときに何となく一緒に見ていたんだけど、クウガに変身する五代君(オダギリジョー)が、刑事の一条さん(葛山信吾)とペアを組んで怪人を倒していて、どうも二人の間にはただならぬ気配が漂っていたんですが、(だって、いつも、一条さん、一条さん、って言ってるし)
五代君がラスボスとの決戦に向かうとき、
「一条さん、見ててください!オレの変身!」って言ったんですよね。
最終決戦に向かうときに、
まして、人類の存亡がかかっている(多分)ときに、言う言葉がそれなのか?と思ったのを覚えていて、
確か、雪山の決戦で、一条さんが木の陰からひとり、クウガと怪人の戦いを見ていて、しかも、ラスボスが白シャツの美少年、っていうのも驚きでした。
その美少年が浦井さんだったんだー。
雪の中で、オダジョーと殴り合っていたなあ。
未だに覚えているくらいだから、当時から光るものがあったんですね。
あれ?なんでクウガの話になっているのか。
ともかく、浦井さんの歌声、綺麗でした!わりとハイトーンで、伸びやかな声。
あと、体のキレもいい。Lとテニスをするシーン、良かったです。もっとあのテニスの場面を見ていたかった。(いやそれじゃテニプリになってしまうか)
ただ、
席が後方だったために顔の表情が見えなかったせいもあるのか、全体におとなしめの月だなあ、という印象でした。もう少し、自分が神だ!となっていくところの狂気めいたものがほしかったかな。“月の闇”が、今ひとつ伝わってこなかった感じはしました。
でも、歌声聞けて満足。笑顔可愛いし、きゅん、となった。
次は『トロイラスとクレシダ』でシェイクスピアだわ。楽しみ♪
(2)鋼太郎さんのリューク
これは想像通り。かなり舞台を自由に泳いでいました。狂言回しの役割はしっかりこなし、笑いをとるところはとる。締めるところは締める。
ちょっと他の役を喰い気味で、何となく浦井さんがやりずらそうに見えたところもあり、少しはらはらした部分もあるけど、逸脱するようなことはしない。
『ジュリアス・シーザー』の時もそうだったけど、鋼太郎さん、舞台を引っ張っていきますよねー。
あんまりワンマンショーにはなってほしくないけど、魅力全開でした。
(3)作品について
ここからはミュージカル素人の感想なので、ミュージカルファンの方、怒らないでくださいね。
・歌が多い。(あたりまえか)
・音が大きくて、歌詞がよく聞き取れなかった。
・作曲家は有名な人のようだけど、私の耳にはあまりキャッチーな曲に聞こえなかった。
・全体的に、みなさん歌がお上手だと思った。もう一人の死神のレムは、エリザベートのトートみたい。動きも、宝塚みたい。濱田さん、歌、とても上手。
・L役の小池徹平さんは、不自然な姿勢で歌うの大変だと思うけど、がんばっていたと思う。でも、もともとが可愛い感じなので、役作りが大変そう。あと、あのLが声を張り上げて歌うことが何となく違和感なんだけど、それを言ってはおしまいという気がする。
・ミュージカルの演出についてよく知らないのに言うのも何ですが、なんか、演出が地味な感じがした。せっかく、デスノートをやるのだから、もうちょっとかっとんでいてもよかったような。装置や、人物の動きもオーソドックス。
月と、Lのぶつかりあいは、もっと激しいものを感じたかった。
・・・演出は栗山民也さんなんですよね。
栗山さんの演出は、ソツなくこなすんだけど、蜷川さん言うところの“ノイズ”がなく、熱情が足りない感じで、私的には物足りないことが多いんです。相性が悪いんだと思う。でも、『組曲虐殺』と『藪原検校』は好きですが。
そういう意味では想定内か。
最初の方で、リュークが、死んだら何もない、神もいない、(だったかな)みたいな歌を歌うけど、これ、海外の観客の方がインパクトが大きいかしら。
Lが死に、月が死に、リュークが「退屈だ」と言う。
ずいぶんペシミスティックな終わり方で、もっと荒涼とした感じが胸に迫ってきてもよさそうだけど、私には今ひとつ感じられず。
う~ん、やっぱり、私はミュージカルを楽しむ素養に欠けているのか。
オペラ座とか、レミゼとか、シカゴとか、映画で観たビリー・エリオットとかは好きなんだけどなー。
この作品を、ストレートプレイで観たかった、と思う時点で間違っている気がします(笑)
が、
カーテンコールで、浦井さんの可愛い笑顔が見れたし、
楽しそうな鋼太郎さん見れたし、
最近、重い芝居も多かったので、
音楽に身をゆだねてリラックスして観れたのはよかったです。