先日ロスへ行く飛行機の中で読んだ雑誌に、メキシコ料理のモレに関する記事が載っていました。モレと言うと、チョコレートが入ったソースの代名詞と思っていた私ですが、モレはソースを意味し、実際にはそれ以外にもいろんな種類のものがあるっての初めて知りました。


各家庭には自慢のモレレシピがあり、嫁ぐ娘にお母さんはそのレシピを書いて持たせるのだとか。糠どこを嫁に行く娘に持たせた昔の日本のお母さんと重なってしまいました。(涙)


この手の浪花節的背景のある素朴な料理に弱い私。この記事を読んで以来、どこかに私にモレ作りを仕込んでくれるメキシカンのおばちゃんが居ないものか、そればかりを期待していますが、未だにそれは実現していません。


鶏もも肉のモレ風チョコレート煮

和・美・Savvy Cooking

うちの近所には、この前私がトルティーヤをプレスするマニュアル製造機を買ったメキシカンよろず屋があるので、そこに行けば、瓶入りのモレソースというのは買えるはずですが、こうなると私は、もう市販のものではだめなんですよ!


一度自分で作ってみたいと思いだすと、絶対に一度果たさないと、市販品では妥協できない意固地な性格。だから、モレ、モレ、モレ...そしてまたモレで、本やネットで色々検索しました。


“モレ”とはチョコレートの入ったソースだと思っていた私は、やっぱり一度作ってみたいと思うのは“モレ・ポブラーノ”。その作り方を調べている時結構目に付いたのが、トマトソースにチョコレートとスパイスを加えた簡単なチキンのモレ風煮込みレシピ。


しかし、私の作りたいと思っているモレは、2、3日じっくり煮込んで作る本格的なソースで、この手の“なんちゃってモレ”には全然関心がないので無視していました。ところが...


先週、2つ3つなくなったスパイスのリフィルを買うのに、スーパーのスパイス売り場に立ち寄った時、そのすぐそばに売っている製菓用のチョコレートが視界に入り、その中のギラデリの黒いパッケージのカカオ100%のチョコレートが、私に語りかけてきたんです。


姐さん、わしを使こうて、“なんちゃってモレ”なチキンの煮込みを、いっぺん作ってみたモ~レ!(爆)


テンプテーションには弱い私。ギラデリの黒いパッケージのカカオ100%のチョコレートをかごに入れてしまいました。その後肉売り場に回り鶏の骨付きもも肉のパックも1つピックし、その晩、とうとう私も“なんちゃってモレ”な鶏のチョコレート煮を作ることになったのでした。


しかしいざ作るとなると、“なんちゃってモレ”と言えど、どのレシピで作るのが一番美味しく出来るかがわからない。メキシカンのお母ちゃん達が時間をかけて作るモレに、どんなスパイスを使い、どれだけの量のチョコレートを入れたらよいのか、基本を知らないから応用のしようがない。


味にこくの出そうなスパイスを色々と並べ、旦那に今晩はチョコレートでチキンを煮てみるから、美味しくなかった時の為にドミノの電話番号調べておいてねと言うと、ドミノになるのは全然構わないけれど、スパイスはそんなに一杯使わない方が良いとアドバイスされました。


旦那曰く、チョコレートをセイボリーな料理の調味料に使ったこともないのに、そこにスパイスの基本も分かってない者が、これもあれもと足すと絶対に美味しくできるはずがないと。


確かにそれは言える!私も旦那に納得し、メキシカンな風味に拘るよりも、初回は極力スパイスは少なめにし、チョコレートも控えめで、どんな味の料理になるかを試してみて、次回に手を加えてみることにしました。


と言うことで、スパイスはクミン、チリパウダー、ケイエンペッパーの3つのみ。その代わり、たっぷりのガーリックと、メキシカンのよろず屋で買ってきた唐辛子で風味と辛味を加えることにしました。また、失敗しないよう、味の基本は無難にチキンストックを使うことにしました。


<材料 3~4人分>

鶏骨付きもも肉、もものみ、メリーランド、またはもも+ドラムスティックなど...人数分
オリーブオイル...適宜
たまねぎ、みじん切り...大1個
にんにく、みじん切り...3かけ
唐辛子、種を抜き細かくちぎるか刻む...1~2本(オプショナル)
クミン...小さじ1
チリパウダー...小さじ1/2
ケイエンペッパー...小さじ1/2
ビターチョコレート、カカオ100%もしくは最低80%以上のもの...15g
白ワイン...100ml
チキンストック、固形1個または顆粒小さじ1を湯に溶いたもの...150ml
トマト缶...1缶
トマトペースト...大さじ1
塩こしょう...適宜
味の素...適宜

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<作り方>

1.鶏肉についた余分な皮や脂肪を取り除く。深めの蓋のあるフライパン、もしくはソテー鍋にオリーブオイルをかなり熱くなるまで熱し、チキンの両面に焼き色をしっかりつける。(油はねがすごいので、スパッターがあればお使い下さいまし!)

2.1の鶏肉を皿に取り出し同じ鍋にたまねぎを加えいためる。2~3分炒めてしんなりしてきたら、にんにくと唐辛子を加え更に1分程度炒める。

3.2にクミン、チリパウダー、ケイエンペッパーを加え、混ぜ合わせながら1分程度香りが立つまで炒める。

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4.3に鶏肉を戻し、白ワインとチョコレートを指で小さく割りながら加える。

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5.木べらでチョコレートを混ぜ溶かしながら、ワインの量が半分くらいになるまで煮詰め、チキンスープ、トマト、トマトピューレを加える。煮立って来たら火を弱めて蓋をし、約1時間程度煮る。途中2、3回チキンの上下をつぶさないように返す。

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この時点でほんのちょっとだけ入れたチョコレートなのに、
この写真の通りかなり濃厚な茶色に染まります。


6.塩こしょう、味の素で味を調えたら、蓋をせず火を少し強めて、10分程度ソースの量が減り自然なとろみがつくまで煮詰める。

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この日は黒い玄米ご飯を炊いてチキンと一緒にいただくことにしました。このご飯、チキンストップとバターで炊くとすごく美味しくて我が家のヒット商品。つい最近までスーパーから姿を消し残念だなと思っていたら、また売り始めました。


サラダにはドレッシングは作らず、ミントの葉の細かく刻んだものとレモン汁を混ぜ合わせ、塩だけでいただくことにしました。


真っ黒な玄米ご飯を皿に盛り、チキンを載せて、ほんのちょっと加えただけなのに、チョコレートがこんなに濃厚な色に変えるの!と驚くほど深みのある紅色のトマトソースをたっぷりかけ、サラダと共に食卓に並べました。

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旦那、晩御飯の献立にチキンを選ぶと、基本喜ばないん人なんです!チキンは淡白で味がないと言い、赤い肉ばかりを好みます。ちなみに私もそう。肉食人種なので赤身の肉がなければ食べますが、でないとあまり選びたくない。


そんな旦那を、チキン調理で100%満足させようと思うと、相当インパクトの強い旨いものでなくてはなりません。


その旦那、このモレもどきにチョコレートを加えて煮たチキンを絶賛しました!


たった3つだけのスパイスを、しかもどれも量をかなり制限して加えたので、ソースの味は一口食べるとメキシカ~~ン!とわかる味ではありません。そしてチョコレートが入っているってのは、言われても絶対に分からないです。


しかし、その深みのある紅色は紛れもなくチョコレート!そしてその味は、色以上に深みがあり、実に、実に旨いチキン料理に出来上がりました。


これは是非是非お試し下さい!(って毎回記事の最後同じようなこと言っとるけれど、私...汗)


いずれメキシコ人のおばちゃん見つけてき本格メキシコ料理を仕込んでもらい、これぞモレ!っていうレシピをブログで紹介したいと思いますが、それまでの間、“なんちゃってモレ”にしたらこれは出来すぎるくらい出来たなんちゃってです!

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