ハイキング用の靴に投資したお金は、一晩冷蔵庫の中にあるものだけで献立を考えても取り戻せる額ではありません。(苦笑)そこで、夕べもまたまた冷蔵庫と冷凍庫の残り物や保存食を使った献立にしました。


ハヤシライス

クッキングリッシュの会

このブログの趣旨は“真の洋食”ですが、今日の記事はそれから離れ和製洋食です。


でもこれ、フレンチのコッコヴァンやブフブルギニョンの作り方を応用し、デミグラスの代わりに英国風隠し味を使ったハヤシライスで、究極と呼ぶ絶品なのでご紹介することにしました。


昨日は冷凍庫の中に後生大事に保管してあったこれを、思い切って、清水の舞台から飛び降りるつもりで、取り出し解凍して使うことにしました。

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牛の薄切り肉です!日本に住んでいる人からすると、何でこんなものにそんなに大袈裟なことを言うの...と思われるだろうけれど、海外に住むものにとっては、牛にしても豚にしても、薄切り肉というのは実に価値のあるものなのです。


海外では一般的に日本の様な薄切り肉ってのは売っていませんから、それを手に入れようと思えば、何を買っても割り増しの日系の店で購入するしかないんです。


自宅でもスライサーを購入して薄くスライスしたり、一旦肉のブロックを凍らせ、るいべ状になるまで解凍して薄くスライスすることも出来ますが、やっぱプロが業務用のスライサーで薄切りした肉とは、舌触りが違うんです!


夕べ使った薄切り肉は日系のスーパーで購入した貴重な薄切り肉。使いやすいように約100gずつに分けて冷凍してあったもの全部取り出したのです。取り出す時の私の心境は、そりゃあ清水の舞台から飛び降りる思いでした。


カレーを作るつもりで取り出した薄切り肉。でも、カレーだとじゃがいもや人参もいる。それを買うお金を節約し冷蔵庫の中にあるたまねぎだけを使って作るとしたら、ビーフカレーかハヤシライスしかない。薄切りでビーフカレーというのもなんなのでハヤシライスにしました。


ところで、ハヤシライスと言うと普通みな入れるのがデミグラスソース。日本はなんであんなにデミグラスソースの需要と供給が多いんでしょう?スーパーに行くと、いろんなメーカーのいろんなパッケージのデミグラスソースをみかけます。


現在は知りませんが、昔イギリスのスーパーには市販のデミグラスソースというのが売っていませんでした。アメリカはその点日本の食文化の影響をイギリスより受けているからか、先日スーパーで発見しました。と言ってもたった2種類だけですけれど。


市販のデミグラスってのはわざわざ買ってまで使いたいほど美味しいものじゃない!そこで私はそれの代わりに、もっとこくのある風味を出すイギリス風隠し味を使い、ジャポニカxフレンチxブリティッシュが交じり合った究極に旨いハヤシライスを作りました。


<材料 3~4人分>

バター...5g+5g+15g(内15gは室温に戻し柔らかくしておく)
牛薄切り肉、5~6cm幅に切る...320~350g
たまねぎ、薄くスライスする...1個
にんにく、薄くスライスする...2かけ
赤ワイン...250ml
固形ビーフストックまたは固形コンソメ、パッケージの分量に従い熱湯で溶く...500ml
ケチャップ...大さじ2
トマトペースト...大さじ1
リー&ペリンウスターシャーソース...大さじ1
ベイリーフ...1葉
塩こしょう...適宜
味の素...適宜
小麦粉...約大さじ2


<作り方>

1.フライパンにバター(5g)を熱し牛肉を炒める。全体に焼き目がついたら火からおろす。

2.鍋にバター(5g)を熱したまねぎを焦がさないようにしんなりするまで3~4分炒める。にんにくを加え更に1分程度炒める。

3.2に1の肉を加え赤ワインを注ぎいれる。煮立ったら火を少し弱めそのまま2~3分煮る。

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海外の肉(輸入肉も含め)には目方を増やしたりみずみずしく見せたり、
肉を柔らかくする目的などで水が注射されていることが多い。
私はだからフライパンの底にたまった水分を単に肉汁と喜べないので、
肉だけ別に炒め、たまった水分はみな処分してしまいます。


4.3にビーフストック(またはコンソメストック)、ケチャップ、トマトピューレ、ウスターシャーソース、ベイリーフを加え一旦火を強めて煮立てる。煮立ったら再び火を弱め蓋をして約1時間半煮込む。

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5.4を煮込んでいる間にルーを作る。室温に戻したバター(15g)に小麦粉を加え、粉っぽくなくなるまでよく混ぜあわせる。

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6.4に塩こしょう、味の素で調味し、お玉2~3杯分のスープをボールに取り分ける。味噌や酒かすを出汁で溶かす要領で、5のルーを少しずつボールに加え泡だて器でしっかりと溶く。

7.6を鍋に戻し、ゆっくりかき混ぜながらシチューにとろみをつける。2~3分煮込めば出来上がり。


私の言う英国風隠し味とは、日本のウスターソースの原点でもある、イギリスのリー&ペリンウスターシャーソースです。


原点と言っても日本のウスターソースとはかなり味が違い、もっとピリ辛で酸っぱい風味があります。そのままかけて食べてももちろん良いけれど、煮込み料理に使うとこくを出してくれるのです。またトマトジュースに加えても美味しい。


そのリー&ペリンを使ったハヤシライスは、洋食屋の味を超える絶品!最近ではリー&ペリンは日本の一般のスーパーで簡単に手に入るので、1本購入してシチューやカレーなど洋食の煮込みの隠し味に是非活用してください。

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ところで、話は全然違いますが、私、昨日、新しく買ったホームベーカリーで、一日中ニューレシピの研究に没頭しておりました。(笑)


私が研究に没頭した新しいパンのレシピとは、ミニブリオッシュロールなのです。


以前から一度焼いてみたいと思っていたのを、私の持っているレシピ本の中のブリオッシュローフのレシピを参考に分量を調節して、ミニブリオッシュロール焼いてみたのです。


ところが、一回目のトライは大失敗。数字に弱い私。計算間違いで水分が多すぎ、生地コースが終わりホームベーカリーの蓋を開けると、まるでホットケーキの生地。それでもめげず、私は再び計算しなおし材料をホームベーカリーにセットしました。


そして出来た生地がこれ。見てください、このバターたっぷりのべたべた生地。チェルシーバンズと同じで、べたべたでどんだけ扱い難いことか...

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そのべたべたの生地を8等分しベンチタイム15分の後形成しました。ブリオッシュカップなどうちにはないから、スーパーで買って来たホイルのマフィン型を利用。

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生地がべたべたで形成し難いのに、それでもちゃんとブリオッシュの特徴、“乳頭”も作りました!(笑)2次発酵で膨らんでその大事な乳頭が消えてはまずいので、ナイフでしっかり周囲を押し込むなど、ちょっとチーティングもありです。


そして出来上がったのが、このブリオッシュです。頭の悪い私が粉と水の割合などを計算し、失敗を元に焼き上げた処女作はまずまずのもの。でも、100%満足できるものではありません。次回は全部にしっかり乳頭をつけてレシピと共にご紹介します。

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しかし味はとても良く、旦那にはこのブリオッシュがえらく受けていました。会社から帰るなり夕飯の前に1つ食べて、テーブルに座るとハヤシライスにもまたまた1つ食べていました。ちなみに食後にも1つ食べたのです。(爆)

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残ったハヤシライスは旦那が2つのタッパーに分けて会社に持ってゆきました。上司と一緒に今日のお昼ご飯に食べるそうです。


でも、その上司、これが日本風ハッシュドビーフだと知ったら、きっとびっくらこくことと思います。


アメリカの元々のハッシュドビーフと言うのは、ローストビーフの残りやコーンビーフを細かく切り刻み、じゃがいもなどと一緒にして焼いたもの。なんでそれがハヤシライスの元になっているのか、似ても似つかない不味そうな料理ですから。(笑)

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