一昨日うちの近所のスーパーに、めずらしく牛すじが並んでいました。国産牛のすじで、しかも30%オフ!


東京に越して来てからと言うもの、牛すじを見つけたら、献立が180度変わっても一向に構わないから絶対に購入する私は、当然、ゲット!その日の内に下準備を済ませておいて、夕べはこんな献立が我家の食卓に並びました。


牛すじの英国風ダンプリング入りシチュー

クッキングリッシュの会

私が渡英した年の冬、本格的な英国料理など殆ど食べたことがない上に、和洋中、まともな料理が何1つ作れない私に、パートナーは「シチューを作って欲しい!」とリクエストしてきました。


私の知っているシチューというと、ハウスのクリームシチューかビーフシチュー。


私にとっては子供の時から食べ親しんだ大好きなハウスのシチューですが、彼のリクエストしたシチューと言うのは、当然それではなく英国風シチューだったのです。


私は自分が食したことのないシチューを作る羽目になりました。思案に暮れていたところスパイスの外箱にシチューのレシピを見つけ、一分のくるいもなく全くレシピ通りにシチューを作りました。したら、これは旨い!と、彼はおかわりまでしてくれたのです。


以降、私はそのレシピのシチューを、冬になると度々作る様になりました。作る度に自分なりの工夫が凝らされ、今ではオリジナルのレシピとはまったく違う一品になってしまいましたが、味は初めて作った時と同様、いやそれ以上に美味しい私の英国風シチューです。


ところで、こってこての大阪人の私が東京に越して来て、なによりカルチャーショックを受けたのが、東京と大阪の食文化の違いでした。


大阪のスーパーならどこへ行ってもごんろごろん売っているものが、東京ではそっこら中のスーパーを探し歩いても、売っていないという食材があったのです。


鶏ガラと牛すじ。


鶏ガラはスーパーで尋ねると、冷凍したかっちかちの物を奥から出して来てくれました。でも牛すじは全く見かけませんでした。店員さん曰く、毎朝店頭に並ぶと午前中に売り切れてしまうとか。ならばと、私は翌日開店10分前から並びすじを買いに行きました。


ありました!ありました!たった2パックだけ。(苦笑)


スーパーが開店して1分も経っていないのに、たった2パック?これじゃぁ私の目に留まらないはずです。


大阪のスーパーでは、鶏ガラも牛すじも新鮮なものが簡単に手に入ります。こんなに牛すじが売っていない東京で、一体みなさんおでんの出汁はどうやってとっているのか、ずっと疑問でした。


ある日、おでんの出汁はかつおや昆布で取ると聞いた時、「それをおでんと呼ぶのは、そりゃあんた、邪道やで!」と思わず発してしまった私。(笑)


いやはや、東京でももっと簡単に牛すじが入手出来る様になればと思います。


ネットで購入したり、実家の母に送ってもらったり色々苦労して来ましたが、やっと最近馴染みのお肉屋さんが出来、国産の牛すじを前もって注文できるようになりました。


イギリスでもオーファルと呼び、レバーやキドニー、タンなどはよく料理に使いますが、すじは見かけたことがありません。でも、大阪人の私は、精肉よりもすじで野菜を煮込むのが好きで、十数年作り続けて来た英国風シチューも、帰国後はすじで作る様になりました。


これまでにも、私のブログではこのシチューを何度も紹介しました。その都度、オーブンがないのですがコンロでは作れますか...と質問を受けましたので、いつもはオーブン調理するシチューを、今回はちょっと作り方を変えてコンロで作ってみました。


味はオーブンで作った時と同じで美味しいのですが、水加減を多くし過ぎ、出来あがりに濃厚さが欠けていたのが残念です。


<材料 5~6人分>

牛すじ...500~600g
オリーブオイル...適宜
たまねぎ、4~6等分にし層を分ける...大1個
にんにく、薄切り...2かけ
人参、大きめに切る...大1本
大根、大きめに切る...10cm程度
ストック、牛すじを煮た煮汁...約1リットル
固形コンソメ...3個
トマトピューレ...大さじ3
赤ワイン...カップ1/2
ローレル...2葉
タイム...3~4本
じゃがいも、大きめに切る...中2個
パプリカ、へたをとり種を抜いて5mm幅の縦長切り...1個
マッシュルーム、石突の汚れた部分を切り取る...8~10個
塩こしょう...適宜
味の素...適宜
ダンプリング...8個(レシピはこちら から)


<作り方>

1.鍋に湯を沸かし、沸騰している湯の中で牛すじを入れ、赤身が消えるまで1~2分、洗う様にして箸で揺すりながらボイルする。ざるに取り流水でよく洗って水切りし大きめに切る。鍋は洗剤で綺麗に洗う。

2.牛すじを鍋に戻し、1.5リットル以上のたっぷりの水をはり火にかける。沸騰したら火を弱め蓋をして1時間程度煮る。

ここまでの作業は、時間のある時は前日までに済ませておくことをお勧めします。鍋に入れたまま一晩置き、翌日表面に浮いた白い脂肪を丁寧に取り除くと、余分な脂肪が取り除けるだけでなく、クリアーで口当たりのよいシチューが出来上がります。

3.深めの大鍋にオリーブオイルを熱したまねぎを炒める。しんなりするまで焦がさない様に3~4分炒める。にんにくを加えて更に1~2分炒めてから、人参と大根を加え3~4分炒める。

4.3に2の牛すじを加え、ストックをひたひたまで注ぐ。固形コンソメ、トマトピューレ、ワイン、ハーブも加え、沸騰したら火を弱め蓋をして約1時間半煮る。時々中をチェックして、水分が減り過ぎているようなら残ったストックを足す。

クッキングリッシュの会
水分の蒸発を心配し過ぎ、写真は具がストックにどっぷりと浸かってしまっています。
もう少しひたひたの水加減で、途中足りなければ足す方が
濃厚なシチューに出来上がるでしょう。

5.4にじゃがいも、パプリカ、マッシュルームを加え、再び蓋をして20分程度煮る。

6.5に塩こしょう、味の素で調味し、シチューの表面にダンプリング浮かべ、再び蓋をして30分煮る。

クッキングリッシュの会

おでんと言えば、牛すじをとろとろに煮てその出汁で作る関西育ちの私には、この英国風シチューは、シチューと呼ぶより英国風おでんと呼びたい一品。


おでんにはからし。この英国風おでんも、やっぱり同様にマスタードをつけて食べると味が一層良くなります。

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