5月30日水曜日の仕事明けは、気になっていた展覧会をまとめてハシゴしてきました。
まずは目黒で開催されている、「美術と本」にまつわる2つの展覧会。ともにフランスものという、まとめて観てねと言わんばかりの、グッドタイミングでした。
はじめに訪れたのは東京都庭園美術館で開催されている、鹿島茂コレクション「フランス絵本の世界」展です。
庭園美術館はとっても久しぶりでした。学生時代はよく通ったのですが、ここ10年以上、行った記憶がありません。
旧朝香宮邸とその庭園を利用した美術館で、雰囲気は都内の美術館の中でも屈指のものだと思います。入口近くの本館は今回「旧朝香宮邸物語」と題して、アール・デコ調の装飾品などを展示しています。この日は時間がおしていたため、こちらはさらりと鑑賞。
文筆家(楽しいエッセイなどをたくさん書かれています)でフランス文学が専門の鹿島茂先生は、またとても熱心な書籍などのコレクターでもあり、その貴重なコレクションの中から、フランスの絵本をテーマにしたものを今回は出品されています。
フランスの絵本文化は華やかな印象がありますが、実は他のヨーロッパ諸国に比べてかなり遅く開花したとのこと。18世紀から19世紀前半にかけては、親が子どもに絵本を読み聞かせる習慣がなく(文盲の乳母に育てられ、その後修道院の寄宿学校に預けられるのが一般的だったためと)、絵本が普及しにくい環境だったそうです。
19世紀後半からようやく絵本の地位が向上し始め、急速に洗練されて、現在のフランスの絵本文化に繋がったとのことです。
全体は6つのブロックに分かれています。
I章 子どものための絵本 19世紀の雑誌・絵本と民衆版画
II章 子どもの本の新時代
この時期(19世紀半ばくらい)あたりはまだ絵本というよりは、版画による挿絵が中心で、モノクロからカラーへの変化がありました。まだ地味な感じですが。
III章 モーリス・ブテ・ド・モンヴェル フランスの子どものための絵本
大好きなモンヴェルの作品を中心に展示したコーナー。独特なタッチで洗練されたイラストを描いたモンヴェルですが、1880年あたりから活躍が目立ってきます。
音楽だとちょうどドビュッシーやラヴェルなどの印象派が台頭してくる直前くらい。
10歳下のアルフォンス・ミュシャや、子どもくらいの世代にあたるレオナール・フジタ、さらには宮崎駿さんあたりにも影響を与えているように感じますが、いかがでしょうか?
デザイン性豊かな構成も、とても素敵ですね。後の水彩画も良いです。
IV章 20世紀の雑誌とイラストレーターの活躍
20世紀に入ると、それまでの文字の比重が高かったものから、だんだんと絵が中心になっていき、いわゆる絵本らしい絵本に変化していきます
アンドレ・エレとバンジャマン・ラヴィエがクローズアップされています。
V章 フランス絵本の人気シリーズ
日本でも『ぞうのババール』シリーズは特に有名ですね。
他に『ペール・カストール文庫』という長寿の絵本叢書が取り上げられており、中でもロシアの潮流を持ち込んだウクライナ生まれのナタリー・パランの作品に焦点を当てています。
写真上は前章のエレの作品、下がババールです。
VI章 様々な子どもの絵本と子どものイメージ
全体のまとめという感じの小さなコーナーです。
場内は何ヶ所かに撮影OKの場所があります(大きなショーケースのところ)。
たくさんの表紙画や挿絵を観ているだけで楽しい気分になれます。これらを時間軸に沿って鑑賞できる、有意義な展示だと思います。
公式図録は書籍扱いなので、書店などでも入手可能です。
会期は6月12日までですので、興味のある方はお早めに。














