明日5月30日から千葉市美術館に巡回してくる『岡本神草の時代展』ですが、一足先に昨年12月5日に京都で観てきました。ブログを書きかけのまま放置していたので、今更ですが仕上げました(^_^;)
岡山で高松明日香さんの作品を観た後は、帰路の途中に京都で下車し、京都国立近代美術館で開催している(していた)『岡本神草の時代』展へ。独特の筆致で京の花街の美人画を描き、38歳で早逝した日本画家です。残された作品は多くありません。
タイトルどおり大正から昭和にかけて、京都の画壇で活躍された岡本神草(1894-1933)とその周辺の画家を取り上げた展覧会で、ここまで大規模な岡本神草展は初めてとのこと。所在が確認されている作品のほとんどを展示するという、画期的な企画です(出品作一覧はこちら)。
今までまったく馴染みがなかった画家ですが、作品の持つパワーというかポテンシャルはとても高く、息苦しくなるほど圧倒されます。京都国立近代美術館は平安神宮の大鳥居のすぐ横にあり、京都駅からは少し距離があります。
岡本神草の展覧会は、同い年の仲間で、長寿であった甲斐庄楠音の展覧会が平成9年にこの美術館で行われた際に併催されました。また美術館近くにある星野画廊が平成20年に行った展覧会と、併せて刊行された星野夫妻の労作『岡本神草日記』という成果が、今回の展覧会に繋がったそうです。
前述のように早逝したため完成された作品が少ない上に、当時展覧会に出品されたあと所在がわからなくなっている作品(参考図版として写真などが展示されている作品もあります)もあり、今回は本作、習作、デッサンなど100点以上を集められるだけ集めた、これまでで最大の岡本神草展です。自分にとって馴染みの薄い作品なので、これを機会に興味が持てたらと思い訪れたわけです。
メインビジュアルは『口紅』で、この作品は折に触れて展示されてきた、比較的知られた神草を代表する作品です。展示は大筋で描かれた時間軸に沿っています。
活動の初期の頃は、花や風景などを描いたり、当時流行っていたゴーギャンばりの南洋絵画を描いてみたりした神草ですが、
大正3〜4年頃から、女性をモチーフにした作品を多く手がけるようになります。
この時代の京都画壇の画家たちは、多かれ少なかれ竹久夢二の影響を受けています。夢二の模写などを含め、試行錯誤した跡がデッサンなどから見て取れます。
そんな中から自分の形を見つけ出し、評価を得たのが前述の『口紅』(1918)です。
これをきっかけに、さらに女性画の世界に深く入っていきます。微妙な陰影が特徴的で、カタログでは「心理的な隈」と表現されています。
今回の展示の見どころのひとつ、『拳を打てる三人の舞妓の習作』は執拗なほどに描き直しなどを繰り返した一連の作品のひとつです。最終的な完成作は第3回帝展入選後所在不明なのですが、そこに至るこの習作や未完成作が展示されています。時間がなくて切り取って提出したものの残りの部分も発見され、本来の形が蘇っています。一連の作品から神草のこだわりの強さを垣間見ることができます。
美しさと共に、グロテスクな面も描かれており、独特な香りを放っています。好き嫌いが分かれるのではないでしょうか?
神草の進化はここで留まることはなく、濃厚で官能的な画風から、より明るくシンプルな画風に変化していきます。浮世絵の世界を融合させたような絵は、大正10年頃から師事した菊池契月の影響があると思われます。
これからが期待された神草でしたが、病に倒れ、わずか20年ほどの画家としてのキャリアを閉じました。
大作は少ないですが、見応えのある展示でした。
これと併せ、同時代に京都の画壇で活躍された画家たちの作品も展示されています。
この頃の京都画壇の面々ははこぞって同じような美人画を描いており、ひとつのムーブメントだったのだと思います。千葉市美術館が巡回の最後ですので、見逃していた方は是非!














