もともと桃源社の書下し推理小説全集の一冊として刊行されましたが、廉価版のポピュラー・ブックス、文華新書として出版されたあとは、およそ50年再刊されず(このあたりの事情は以前のブログに書きました)、昨年論創社から未完の長編『白樺荘事件』(これが『白の恐怖』のリライト版になるはずだった)が出版された際にカップリング収録されて、ようやく容易に読めるようになりました。
今回は間をあけずに文庫化ということになり、さらに多くの方が手に取りやすくなりました。初刊時同様、短編『影法師』が併録され、さらにエッセイが3本と旅のスナップ写真のページが盛り込まれています。
たいへん嬉しいことですね。
鬼貫警部と並んで、鮎川作品ではお馴染みの探偵・星影龍三が活躍するこの作品。
星影ものの長編としては『りら荘事件』に続く第2作。主に密室ものなどで活躍するこの探偵、長編ではこのあと『朱の絶筆』(光文社文庫所収)に登場するのみですが、いくつかの短編もあり、出版芸術社から2冊に纏められています。
このなかからの抜粋が光文社文庫から『悪魔はここに』『消えた奇術師』として出ていますが、『りら荘事件』の原型である『呪縛再現』(星影vs鬼貫というレアもの)や『朱の絶筆』の原型中編を読みたい方は文庫には未収録なので単行本を。
ともあれ、ようやく鮎川氏の全長編が文庫化されましたが、そうこうしている間にも、また店頭から姿を消し、入手難になっている作品もありますので、気になったら買っておきましょう。





