素敵な歌声とアンサンブルでした! 星野みちるさんの『逆光』リリパ@代官山・晴れたら空に豆まいて | cookieの雑記帳

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興味を持ったことなどを徒然なるままに書き留めていきます。半分は備忘録。音楽(classicからpopsまでなんでも)、美術(絵画、漫画、現代美術なんでも)、文学(主に近現代)、映画(洋画も邦画も)、旅や地理・歴史(戦国以外)も好き。「趣味趣味な人生」がモットーです。

世間(私は違いますが💦)は10連休の初日、4月27日土曜日の午後は、星野みちる社長の新レーベル〈良いレコード會社〉から3月に発売された第一弾シングル『逆光』のリリースパーティーに参加するため、代官山のライブハウス「晴れたら空に豆まいて」に行ってきました。
先行発売を兼ねた下北沢・風知空知でのライブ、そして東京・福岡でのインストアライブを経ての、満を持してのワンマンライブです。

メンバーは3月のライブと同じくvocal, pianoの星野みちるさん、celloの吉良都さん、percussion, chorusの山下あすかさんのトリオ。

開演時間になり、ショパンの別れの曲が流れる中、メンバーが登場。
白いふわっとしたロングワンピースのみちるさん、「先日、これを着たら、天使みたいって言われたので、今日も着ました」と、はにかんだ表情で。吉良さん、山下さんも白い衣装で合わせていましたね。


3月のこのトリオによるライブがあまりにも素晴らしかったので、大いに期待して臨みました。オープニングは『行きたい方へ』緊張感を伴ったピアノのイントロ、そしてみちるさんの柔らかな歌声に吉良さんのチェロが絡んで極上の滑り出し。
今回はグランドピアノなので、チェロの音色とのハーモニーも抜群。そこに山下さんの繊細なパーカッションが輪郭を作って、音像がくっきりと浮かび上がり、花が開いたように会場を包み込みました。
押し付けがましくない力強さがとても曲にマッチしていました。


そしてオレンジ色。息の合った盤石のアンサンブルはとても心地よかったです。
次はカヴァー曲で中谷美紀さんのMind Circus。これまでにも何度か歌っていますが、教授の書くクセのあるメロディを咀嚼し、以前よりさらに洗練された演奏になっていました。
続けては鏡の中の私。セットリストの中でも最も攻めの曲。弾き語りの域を超えたみちるさんのピアノは本当に凄かったです。グランドピアノが奏でる音の迫力は凄まじく、唸るチェロ、爆進するパーカッションとまさに戦っているかのようでしたが、乱暴にならない抑制の効いた荒々しさが絶妙でした。

そしていよいよ新譜のタイトル曲逆光。内向的でシャンソンのような雰囲気をまとった、流行に媚びない素晴らしい作品。ソングライターとしてのみちるさんの、現在の1つの到達点でしょうか。室内楽伴奏にアレンジした岡田ユミさん、流石です。


Michiru時代のアルバム「Bitter & Sweet」に収録されている君の名前は、昨年のバースデーライブでも歌いました。みちるさんらしさがよく出ている曲です。アンサンブルでの演奏も奥行きが広がった感じで良かったです。
続いてのカヴァー曲は、先日も歌った南野陽子さんの話しかけたかった。実はサリー久保田さんのリクエストだったそうで(サリーさんがMCで、「死ぬほど好きな曲」と、思い入れを語っていました)、「本当は一番の終わりから間奏に入るところで、髪をはらうのをやって欲しかったんだけれど、ピアノを弾いているので無理ですね」と^_^;


次いで新譜からのさよならブルーバードは、昨年5月にここ「晴れ豆」でのSmooth Aceとのジョイントライブで初披露されました。ゴタゴタに巻き込まれて、アーティストとしての活動が満足にできなかった当時のみちるさんを励ますために書かれた曲です。最近Smooth Aceのお二人に、湿っぽい声だねと言われたというみちるさん。日本語で言うとなんだか暗い感じに聞こえますが、wetな声質と言い換えると、言い得て妙な感じです。心地よい湿り気が人間にはいちばんしっくりくるので、まさにみちるさんの声はそう言う感じです。

びっくりの選曲だったのはDear M』。みちるさんの作曲(作詞は盟友の大島麻衣さん)で、初ソロアルバム「卒業」に収録されていますが、原曲はAKB48のオーディションの時に歌った自作の『君へ』。こちらはみちるさんの詞で、最近ではデビュー10周年のバースデーライブの時に一番だけ歌ってくれました。みちるさんの原点となる曲ですが、全く違和感なくセットリストに溶け込んでいました。
先日アップされたインタビュー記事でデビュー当時のことを語っていたので、それとリンクする選曲ですね。


お次は坂道の途中。王道のポップチューンですが、歌詞が?になってました^_^;

この日のタイムテーブルは、休憩なしの通しで、もう終盤。
VIVID SOUNDに移籍して大きな転機となったい・じ・わ・る・ダーリン。そしてライブの定番曲恋のファンフェアーと続き、いよいよラストの曲とのことで、スペシャルゲストの登場。現在のプロジェクトのプロデューサーでもあるサリー久保田さん。
サリーさんはみちるさんとはVIVID時代にVJなど、主にアートワークを中心に関わってきたのですが、近くにいてもみちるさんから話しかけられることはなく、距離があったとのこと。
昨年、新プロジェクトを立ち上げるにあたりサリーさんに声がかかり、プロデュースを引き受けることになったそうで、おそらくはSOLEILとの共演などを通してサリーさんの音楽活動に触れたことがきっかけになったのだと思います。みちるさんには、「マイナーの曲を書いてみようか」とか、「ロックンロールが聴きたいな」とか、比較的ゆるい感じの方向づけをしているようで、「5年、10年、20年経っても歌っていけるような曲を作りたい」というのがサリーさんの考え。「みちるちゃんはあまり(音楽に)詳しくないので、(いい意味で)予想とは全然違ったものが出来上がってくる」とのこと。自分で曲を書いて、ピアノを弾いて、歌っていきたいという、みちるさんの気持ちを上手く汲み取ったプロデュースだと思います。

みちるさんは白いキャンバスで、どんな色にでも染めていけると、前プロデューサーのはせはじむさんは強い方向性を持ってリードし、数多の名曲を生み出してきたのですが、一方でサリーさんはみちるさんのやりたいことをサポートするという、自分で考えてキャンバスに描いてもらう方向へと導いています。
はせさんのもと、さまざまなタイプの歌を歌い、また個性豊かなクリエイターたちと接点を持ち、多くの制作の現場を経験してきたことが大きな肥やしとなっていると思います。シンガーソングライターとして自立する、まさに機は熟したというところでしょう。

さて、そんなサリー久保田さんは今日はウッドベースで参戦。曲はレコーディングでも演奏しているロックンロール・アップルパイです。ビートルズへのオマージュ(サリーさんの趣味ですね^ ^)たっぷりのナンバーです。


「ウッドベースと並ぶとチェロが子どもみたいに見えます」というみちるさん。
たしかにオーケストラホールなどで見るときはそれほど大きい印象はないのですが、ライブハウスのスペースだと存在感が半端ないですね。
軽快でユーモラスな曲に会場は盛り上がりました。写真撮影可でした。

予定のプログラムを終えて退場した後、聴衆の熱いカーテンコールに応えて、メンバー3人とも「よいレコード會社」のTシャツ(ブラック)に着替えて(衣装の上に着ただけですが)再登場
サリーさんも呼ばれて、こちらはこの日発売になったグレーのTシャツ。


ここでさらに現在の制作陣の要でもある岡田ユミさんにも声がかかり、客席からステージへ(岡田さんもグレーのTシャツ!)。
昨年はVIVIDのスタジオライブでもよくお見かけしたのですが、表舞台に上がられるのは珍しいのでは?
SOLEILのデビューシングルである『Pinky Fluffy』(岡田さんのアレンジ)にみちるさんがコーラスで参加したあたりから接点が見え始め、指原莉乃さんのCM(岡田さんの曲)のバックコーラスをつとめたり、その後もSOLEILのライブやレコーディングでもコーラスに起用され、信頼関係が築かれていったのだと思います(このブログを書いている最中にもSOLEILの3rdアルバムのコーラスのレコーディングしてきたとのinstagramが上がっていました)。
そしてみちるさんの独立にあたってサリー久保田さんとともに一翼を担う形になったのですね。
サリーさんと岡田さんのコンビといえば、自分の中では若松孝二監督の映画『キャタピラー』の音楽を担当したお二人として、認識していました。
みちるさんにとって実に頼もしいパートナーです。


そんなわけで、オールスターキャストによるアンコール曲は『流れ星ランデブー』。岡田ユミさんがピアノにまわり、みちるさんはこの日初めてvocalに専念。間奏部分ではダンスの西田先生も登場し、おおいに盛り上がりました。チェロが大活躍でしたね。




ゲストの2人が下がって、最後はメンバー3人で『マジックアワー』でした。客席も一体となって手拍子で盛り上がりました。
充実のライブに、会場の拍手は鳴り止まず、みちるさんがもう一度舞台に。
そして最後に歌ったのは、アカペラでのガンバレ!でした。
AKB48を卒業する時の、秋元康さんからの餞別ともいえる一曲。
新譜に新録音で収録されていますが、ここまでのリリースイベントでは歌ってきませんでした。


ゆっくりしたテンポで言葉を紡いでいくみちるさん。会場は静まり返り、皆歌に聴き入っていました。

それにしても、たいへん充実したライブでした。みちるさんのデビューから現在までを俯瞰し、それぞれの節目にあたるような曲がチョイスされ、その延長にある『逆光』の存在があらためて感じ取れる、絶妙なセットリストでしたね。

さて、今後もたくさんのステージが告知されています。新たな企画として5月から月例ライブがまた始まります。その名も「Pororin」。楽器が紡ぐ音をイメージしているとのこと。
さらに地方ライブも行うとのことで、こちらは「観光」と名付けられています。地方観光と『逆光』を掛けているそうです。
バスがらみの仕事もあれこれアナウンスがありました。
精力的な活動が見えてきて、ファンとしては嬉しいかぎりです。


《セットリスト》
1. 行きたい方へ
2. オレンジ色
3. Mind Circus(中谷美紀さん)
4. 鏡の中の私
5. 逆光
6. 君の名前
7. 話しかけたかった(南野陽子さん)
8. さよならブルーバード
9. Dear M
10. 坂道の途中
11. い・じ・わ・る・ダーリン
12. 恋のファンフェアー
13. ロックンロール・アップルパイ
Enc.1 流れ星ランデブー
Enc.2 マジックアワー
Enc.3 ガンバレ!

写真のいくつかはSNSなどからお借りしています。多謝🙇🏻‍♂️