驚くべき精緻なイラストの世界『生賴範義展』@上野の森美術館 | cookieの雑記帳

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興味を持ったことなどを徒然なるままに書き留めていきます。半分は備忘録。音楽(classicからpopsまでなんでも)、美術(絵画、漫画、現代美術なんでも)、文学(主に近現代)、映画(洋画も邦画も)、旅や地理・歴史(戦国以外)も好き。「趣味趣味な人生」がモットーです。

『大瀧詠一の世界 2018』を観たあとは、雨脚がさらに強くなる中、迫ってくる閉館時間を睨みながら上野に移動しました。
箱根ヶ崎からは約1時間。公園口からすぐの上野の森美術館に着いたのは、16時15分くらいでした。
会期も半ばにさしかかる『THE ILLUSTRATOR 生賴範義展』です。
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生賴範義(おうらい のりよし)さんの名前は知らなくても、その絵を見た人はたくさんいると思います。
1935年生まれの生賴さんはちょうど私の父の世代にあたります。
東京藝大では小磯良平先生のクラスにいらっしゃったようです。中退してしまいましたが(^_^;) 私が先日観てきた麻田浩さんも、藝大ではありませんが小磯先生についており、それぞれに個性的なSFっぽい世界を描くお二人が、なんとなく繋がった気がしました。
自分の中では、生賴さんの一世代前の依光隆さんの絵が初期のSF体験と結びついていますが、画風はだいぶ違います。
生賴さんの絵は国籍不明というか、小松左京さんがその絵を見て、「これは本当に日本人が描いたのか?」と言ったのも納得がいく、それまでに無かったタイプのものだと思います。
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生賴さんの画業はテーマも広く、また発表媒体も様々でした。
奥様の実家がある宮崎に早くから移り、そのアトリエから多くの作品を世に送り出しました。
脳梗塞後、闘病生活を送られていましたが、2015年、79歳で逝去されました。

会場の入口のところでは音声ガイドを貸し出しているのでオススメです。のんさんがナレーションしています。
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さて、最初は新聞や雑誌の広告などのために描いたイラストです。見覚えのあるものがたくさんありました。
生活のためにイラストを描くようになったのですが、結局こちらが本業になってしまいました。
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たくさんの本の表紙を飾った生賴さんのイラスト。そんな本を集めて展示した、その名も『生賴タワー』。四角錐の天井まで届くタワーです。
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圧巻のタワーでした。平井和正さんのウルフガイシリーズや幻魔大戦、一連の小松左京さんの作品などが自分にとっては身近です。
亡くなった私の父は歴史物や戦記物、清水一行さんの作品などが好きでしたので、実家にいた頃は、生賴さんの表紙の本が溢れていました。

次のコーナーはポスター画で、スターウォーズなどは完成作は所在不明ですが、その下絵が展示されています。ゴジラシリーズも何作も手がけており、邦画・洋画問わず、数多くの作品に関わっていたのだなぁと。

本の表紙の原画は、多くの作品に絵を提供した小松左京さんや平井和正さんを中心に。
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モノクロの精緻な三国志の絵、写真かと思うような人物画(ゴルファー、音楽家など)、そして生賴さん自身も力を入れていた戦争もの、特に戦艦の絵は詳細な資料にあたって、細部までこだわって描かれています。

長年表紙画を手がけたSFアドベンチャーの美姫シリーズ。歴史上名を残した女性たちを生賴さんのイマジネーションとあわせて描きあげた一連の作品は、大いなる遺産だと思います。
商業ベースに描かれたもの以外にも、油絵によるオリジナル作品の展示も。
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展示の最後は自画像でした。
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イラストを書いている傍で、発表のあてのない油絵もたくさん書いていたそうで、完成していない作品が多数残されているとのこと。

公式図録には息子さんのからの寄稿もあり、送られてくる小説の原稿に目を通しては、ひたすらアトリエにこもって、夜遅くまで描いていたそうで、膨大な量の仕事をこなし、そのどれもが高い質を保っており、本当に頭が下がる思いです。

撮影OKなコーナーもあります。
見応えのある展示ですので、少しでも興味がある方は観ておいたほうがよいでしょう。会期は2/4までです。