かなり昔から、BSでやっている

火野正平さんがメインで進行している番組、

「日本縦断、こころ旅」をよく見ている。

 

が、最近火野正平さんの体調が良くなく、

(腰痛らしい)今年の春はこの番組が延期となり、

秋では、代役をたてて番組を続けている。

 

今週は、火野正平さんに代わり、

柄本明さんが番組を進行していた。

 

柄本明さんが訪ねている長野県のある場所での

お便りで、こんな内容の話があった。

 

投稿者は、86歳にもなる高齢の男性からの

ものだった。

 

その人が、小学校2年生の頃、

太平洋戦争も敗戦濃厚で、戦争末期の頃の話だ。

 

ある時、昼ごはんが終わった時に、

担任の先生が、「弁当が食べ終わったら、

その弁当箱を持って、桜の木の下に集まりなさい。」

と、言った。

 

みんなが不思議な顔をして集まると、

先生が真剣な顔で言いました。

「今日本の兵隊さんたちは、

必死で敵と戦っています。

でも鉄砲の弾がないと勝てません。

今日は、皆さんのお弁当箱をつぶして送って、

弾のお役に立てたいと思います。」

そう言い終わると、

先生はご自分の弁当箱を石でつぶして、

やり方を教えてくれました。

 

そう言われて、悲しかったけど、

先生の言われるままに、

みんな黙って石で自分の弁当箱を

つぶし始めました。

 

そうしていると、なんだか急に悲しくなってきて、

涙があふれてきました。

ちょうどその時です。

頭上に咲いていた桜の花びらが風に乗って

ひらひらと舞い降りてきたのです。

 

なんだか、その桜が私たちを慰めてくれている

かのような不思議な感じでした。

 

そんな光景が、80年経った今でも忘れる

ことができません。

 

そんなような内容のお手紙でした。

 

アラカンは、今まで何百何千回と

この番組を見てきたが、

これほどまでに驚くやら、びっくりするやら

したことはなかった。

 

自分の弁当箱をつぶしてまで、お国のために

供出するなんてことがあったとは。

 

確かに戦時中に、家にある鉄類とか金属類を

差し出す事は、他のドラマ、映画でも

よく見たことがあった。

だが、幼い子の大事にしている弁当箱まで

つぶさせるような事が、

この戦時中の日本にあったとは、

驚き以外、何ものでもない。

 

国のお偉いさんが、教育者たちに通知して、

このような行為をさせたことは、

今ではとても信じがたいことだが、

その当時では、しかたないことだったのだろうか。

 

戦時中における悲しい出来事は、

他にも山ほどあるだろうが、

教育者(先生)が、子供たちに自分の弁当箱を

つぶさせる行為ほど、わかりやすく、愚かで

悲しい行為はないと、アラカンは思う。