もうかなり昔の話になってしまうが、

その昔の話を、最近は時々思い出して

しまっている。

 

もう10年くらいまえの話だろうか。

 

アラカンが〇〇支店時代の時だった。

 

取引先のある代理店からの依頼で、

担保に差し出している定期預金を

払い出し、別の担保と差し替えて

欲しいとの依頼だった。

 

この言葉だけを聞けば、

何のことは無い。

単なる担保の差し替えですね、

となる。

 

しかし、話をよくよく聞いてみると、

当初の話とはかなり違ってきていた。

 

そもそも今回の話は、

その取引先が何年か前に建築現場で

起こしてしまった死亡事故が

発端だった。

 

建築現場で命を落とされた職人の

遺族が、現場監督の不注意を裁判所に

申し立て、民事での損害賠償案件に

なっていたのだ。

 

そして、裁判では現場管理の不行届、

不十分さを認め、会社に幾らかの

(何千万円だろうか?)損害賠償を

命じたのだ。

 

相手側の弁護士も、代理店の資産状況を

洗い出し、なんとか損害賠償を満額

勝ち取ろうとするが、困難を極めていた。

 

そんな時に目を付けられたのが、

当社が商売上に担保として預かって

いた定期預金だった。

 

普通にこの定期預金を担保解除して

しまえば、そのまま被害者への

賠償金として差し押さえられてしまうのだ。

そこを何とかうまく頼む、と取引先から

言われたのが、今回の案件だった。

 

結果として当社側は、故意に相手が

売り上げ代金を支払えないとして、

預かっていた手形を不渡りとし、

その支払えない代金→担保定期預金で

補うことに相成ったのだ。

 

代理店の規模はそう大きくなく、

何ヶ月分の売り上げを合算しないと、

担保定期預金の金額にならないため、

この金額になるまで、数ヶ月を要した。

 

そして数ヶ月後、取引先に対し、

担保権実行通知書を発行し、

先方より同意書を取り付け、

当社の債権と相殺したのだった。

 

その後、その取引先は毎月担保を

少しずつ積み上げていく=歩積み方式で

もって、担保を頂いていく方針となった。

 

その後、ちょっとしてから、

アラカンは別の部署に異動と

なってしまい、その後のその代理店の

動向は知らない。

 

アラカン自身、今もって何か

こう釈然としない気持ちがある。

わだかまりがある。

悪に加担してしまったようなグジグジ

した気持ちもある。

 

全ての資料は支店に置いてきてしまったので、

詳細は今となって不明だが、

記憶を頼りに書き記した。