先に行事の多い会社だったと書いた。

会社は外資系の会社だったから、
海外からの来客も多かった。
国際本社はアメリカ、オーランド。
その会社は、世界的に事業を展開していたから、
各地域地域にサブ統括的な本社を置いていた。
例えば、日本であれば香港に本社があった。
香港本社が、フィリピン、韓国、ベトナム、
日本等の数字をまとめたりしていた。
だから日本は、香港本社の問い合わせにも
対応しなきゃいけなかったし、
国際本社であるアメリカ(オーランド)からの
問い合わせにも対応を強いられた。

その海外からの来客があるたび毎に、
経理的な資料を作らされていた。
今思えばひどく原始的な資料作りだ。

まだその当時はワープロもなく、PCもない時代だ。
どうやって資料作ります?


ロットリングという製図用のインクペンで、
細い線を書いたり、線を重ねて線を太くしたりして、
表を作った。
もう芸術的な表作りだ。

その表の中に、年間売り上げ数量とか、
金額、その商品の売上ランキング順とかを、
英文タイプライターで打ち込んでいく。

英文の長い商品名が、欄に入りきらないけど、
どうするの?

それは、その部分だけを別の紙に打ち、
それを縮小コピーをとって、欄に入る大きさに縮小して、
カッターナイフで切り取り、
それにスプレーのりを吹きかけ、
表に貼り付けていくのだ。
(スプレーのり=貼り付けたり、
剥がしたりが自由にできる「のり」)

そんな資料を何部も作らされた。

さらに、資料を作った後に、
より表を見やすくするために、
蛍光ぺんで、マーキングをしたりした。
黄色の蛍光ペンやら、オレンジやらの
蛍光ペンを駆使して、カラフルに彩った。
ちょっとでも色が重なったり、
黒くにじんだりすると、それだけで
全部やり直しとなる。
もう泣きです。

さらにさらに、作った表を何枚も重ねて、
1冊のファイルに仕上げていく。
ファイルの表書きには当然、タイトル、日付等を
英文タイプライターでシートに打ち、貼り付けた。

経理的なものはそっちのけで、
ひたすら資料作りの日々が続くこともあった。

ああ、それにしてもそれらの資料のうち、
1冊でも手元に残して置きたかったなあ。
すべて会社に置いてきてしまった。
まあ、当然と言えば当然だが。
あれから何十年と経った今、
あの資料が猛烈に見てみたくなったぞお。
誰か、あの資料、持っている人いませんか?