これは、娘が高校生だった頃の話です。
推薦で入った公立高校は、
娘にとってあまり居心地の良い学校ではなかったようです。
中学時代はそれなりに良かった成績も、
坂道を転がるように落ちていき、
それとは反比例するように、
アイドルの推し活に精を出すようになりました。
同じ学校の子に推し活を馬鹿にされたこともあり、
高校二年生の修学旅行前には、
不登校になりかけたこともありました。
ですが、学校側と、
そのトラブルになった子たちとの話し合いが行われ、
大きな問題にはならずに済みました。
そんなこともあって、
娘には他校に推し活仲間がたくさんいました。
そんな中で起きた出来事です。
高校三年生、共通テストの一か月前。
そう、12月のことでした。
娘から
「他校の友達の家で、受験のための勉強会をするから泊まりに行ってもいい?」
と聞かれました。
勉強のためなら、それは行かせてあげなければ。
そう思い、お土産のクッキーを持たせて送り出しました。
一泊二日で帰ってきた娘。
ですが実は――。
娘はその日、
一人で東京の、とあるテレビのイベントに行っていたのです。
飛行機もホテルも自分で予約し、
現地ではSNSでつながった推し活仲間と合流して、
イベントを楽しんでいたようでした。
……という、目が点になるような真実を知ったのは、
この出来事から約一年半後のこと。
皮肉にも、娘のSNSで知ることになりました。
発覚したときには、すでに親子関係はかなり悪くなっていて、
それはそれは激しい大喧嘩になりました。
……といっても、直接ではなくLINE上でのことです。
娘はとにかく、直接連絡を取ろうとしません。
基本的に、逃げてばかりです。
まあ、色々言われたら返す言葉もないでしょうから、
顔を合わせない方法でしか接触してこないのだろうと思います。
今でも娘は、嘘をついて出かけたことを悪かったとは思っていないようです。
そのことも、私たちとの距離がなかなか縮まらない理由の一つだと、私は感じています。
今、冷静になって考えても思うのです。
大学受験の大事な時期だったのだから、
できれば行かずに我慢してほしかったな……と。
でも。
もしかしたら、
そう思ってしまう私の気持ちこそが、
娘に嫌われていく原因なのかもしれません。