(このブログは私個人の考え等であり、団体としての発信ではありません) 

2019年。 
CFで100万を超える支援金をいただき、物語研究所は東京、大阪、福岡、仙台の初めての全国ツアー公演を開催決定。 


旗揚げをし、企画ユニットの一人のプロジェクトから正式に演劇ユニットとなり 
SCRAPから卒業し、初めての外部劇場での公演も成功させ、私自身役者業だけで食べられるようになっていて 
出演者の皆様にはチケットノルマなくお支払いもできていて。 
順風満帆、このままいつかZEPP公演という目標を夢見て進んでいくのみ。 

……の、はずだった。 


2020年。新型コロナウイルスがやってくるまでは。 

知名度も勿論あったと思う。 
けれどそれ以上に「参加型」という部分が足を引っ張った。 

安全性と面白さのバランスが分からなくなり 
まだ主宰としても日は浅く、初めての全国ツアーという大風呂敷だけならばまだしも未曽有の感染症という長年主宰をやっている方達でも頭を悩ませていた問題とダイレクトに直面する羽目になる。 

参加型の実験的な演劇を作る勢いを持てていたはずの団体は 
コロナ×主宰としての経歴の浅さ×参加型の三重苦へと変わった。 


仙台公演の頃にはコロナは猛威を振るっていて、チケットの売り上げ状況などすべての面において「中止」が妥当だった。 
これが初めての挫折だった。 

一度団体から個人ユニットへともどした。 
全部失った気持ちにさえなった。 

それでも、ここで負けるのは悔しいし納得がいかなかった。 
2021年1月 国が一度出した「演劇はする側もマスクを着用」というガイダンス(すぐに訂正された) 
に反発心を抱いた結果、逆にマスクを着用しながらソーシャルディスタンスを必ず守るというルールの上で 
『自粛姫』という公演を開催した。 

しんどい事も沢山あるけれど、少しだけコロナというものの中でも演劇をしていける方法を探していこうと前向きになれた作品。 
自粛姫の千秋楽の日。旗揚げぶりに一緒に公演を作った田島さんの「久木田さんが主宰で良かった」と言ってくださった言葉に私はどれだけ救われたか分からない。一度全部失った自信を欠片だけれど取り戻せた。 


自粛姫以降、じゃあ何なら安心して物語研究所らしい演劇が出来るんだ。とひたすらに考え抜いた。 
出会ったのはpepper君だった。 

ずっと楽曲を聞いた時に舞台での図が浮かんでいた楽曲 
「ガラクタ姫とアポストロフ」 
アポストロフという姿、pepper君、物語研究所らしい公演をコロナ禍で取り戻した。 

2022年6月、それも、コロナによって延期となった。 

あんまりあの時の記憶はないけれど数日お風呂にも入れないほどメンタル落ちて、かつ処理に追われて 
7桁のお金が一気に吹っ飛んで、今度こそ心が折れそうになった。

それでも奇跡は起きて、絶対あきらめるもんかと踏ん張って出演キャストを誰もあきらめたくなくて 
映像演出も駆使して全キャストで第七波真っ只中の公演を無事に乗り切れた。 

…と、ここまでは幾度かツイッター上でもお話させていただいていた事。 

ただ、これ冷静に考えてみたら(漸くその視点を持てるくらいの気持ちの余裕を取り戻した) 
お客様側からもたまったもんじゃないよね。 


観劇というのはその本番のチケット代、公演時間だけではなくて 
予定を調整して、交通費を払って人によってはキャンセルがきかない飛行機、新幹線、それに宿代も予約してくださって。 
準備してるときはワクワクしているけれど、中止となってから、更に延期公演にも行けなかったり、中止になってそのままになってしまったり。 
予約の為に準備しているときは良いけれど、行けない公演のキャンセル手続き程悲しいものはないわけで。 

それが一度とか珍しいことじゃなく、今どの公演でもそれをするリスクが起きてしまう。 

………そりゃあ劇場からお客様も離れてしまうよなぁ。 
だって私たちと一緒に何度も心折れているんだもの。 
2022年その人たちには何の補填もできなかったな、何とか何かできないだろうか。 

そしてそんなことを考えていた矢先。 
2023年、物語研究所二名が出演予定だった舞台も公演中止になってしまった。 


お客様の時間やお金や期待を全てなくしてしまう 
下手したら団体ごと簡単に消えてしまうかもしれない『公演中止』や『公演延期』 

それほど重大なもののはずなのに、今や当たり前のように起きてしまうリスクがあることになっている。 


本日21時、物語研究フェス 予約開始しました。

今回のフェス開催にあたって、本当にありがたいことにツイートを見た過去出演者の皆様から 
「手伝えることあればするからね!」といった旨の連絡をいただいたり、予定がNGでもすごく暖かい応援の言葉をもらったり 
出演依頼の快諾をいただいたり、沢山支えていただいている。 

結果、とっても素敵なゲスト様に集まっていただけることになった。 各ゲスト様たちの公演やイベントも中止になったりしたものが幾つかある。 出演者の全中止・延期公演イベントも割引対象にさせていただく事で 少しでも、昨年の一人でも劇場に足を運ぼうとしていたお客様の悲しさを小さじ一匙程度でも掬えるイベントになれたら嬉しいです。 

勿論、これを機に久々に物語研究所の様子見に行ってみるか、とか推し見てみるか、とか、なんか頑張ってるみたいだから応援してやるかも大大大歓迎です。 

予算、日程、状況が許されるなら声をかけたい人たちまだまだいっぱいいました。 
今年からは延期公演をしたとしても一切補償もなくなるので、少しでも何かやりたい気持ちはとてもあります。 
なんなら昨年中止になった演劇団体さんとか、キャスティングはこちらでして、役者をドラフトして 
無料で公演打てるようにする、みたいな演劇祭とかもやりたい。家の庭に油田沸いたりしないかな…。 

石油王様、DMお待ちしております。 
清竜人さんが好きなので第26夫人くらいでも抵抗ありません、大歓迎です(?) 

コロナと戦い三年目。 
負けてばっかじゃいられないのよな。 
沢山の笑顔に出会えますように。 

もう、延期になったチケットを見て悲しい気持ちにはさせません。楽しい気持ちに書き換えていくからね。