これが全ての始まり。
ロボットで物語研究所の演劇をする、となった時。
そこにロボットである理由が欲しかった。
ずっと昔から参加型を作るなら形にしたかった
実在する楽曲の中の登場人物を救う参加型を作りたいという気持ちと、何故かこの曲を聴くと世界観が舞台のセットでイメージされる、という曲があった。
それが「ガラクタ姫とアポストロフ」だった。
「ロボットで物語研究所らしい演劇を作りたい」
「原曲がある作品で作りたい」
いきなりそんな事を言い出した私を
またコイツ何か訳わからない事言ってんな…って思いつつも「面白そう」と集まってくれた春樹、田島さんには本当に感謝しています。
そこから企画書を見て面白がって集まってくれたスタッフ様やキャスト様達も居て、楽しそう、面白そう、の輪がどんどん広がって。
今、最後のお客様という最後の歯車が加わり
…文字通り、奇跡の様に公演をしている。
一度はコロナにより延期となりました。
延期、の前に私は中止を決意した。割と笑えない額の赤字が確定していて、あぁ、もうこれで終わりだと団体ごと看板を密かに畳む事も視野に入れて。
暫くは役者を休んで、事務所も辞めて返済のために就活しないと。そこまで正直具体的に考えていました。
制作チームに中止の決を伝えた後、田島さんから即電話が来た。2時間程話をして、中止にした時と延期にした場合の色々なものを天秤に掛けて、延期をしようと考え直した。
後日談で「あの時中止にしたら、久木田は表現すること自体に完全に折れてしまう」と思って連絡をくださったらしい。旗揚げからのご縁で流石にもうバレバレだなぁ、と苦笑した。(同様に延期発表直後、久木田に表現を止める事をさせるものかと立つのも必死だった私の手を掴んで下さる方が沢山居て、本当に救われました。改めてありがとうございました。)
すぐさまキャスト達に連絡をして
なんとか針に糸を通す様にとんでもないスケジュールパズルが始まった。その中で一番全員のスケジュールが合う場所を選んだ。それでも出られない仲間もいた。出られない仲間の代わりに、色々な場所に声をかけた。ぴったりとピースが嵌まる様に、めぐさんと亀ちゃんが即日に新しい配役として決まった。
神村風子ちゃんの降板はかなり座組全体にも影を落としたし、私もあまりにも理想すぎるエーテル役で他にオファーアタックをしながらも全然しっくり来ない中
、映像の演出説明をする田島さんに閃いた様に久次米さんがポツリとつぶやいた
「…あれ…映像でなら、この演出方法で、風ちゃんって使えませんか」
その瞬間、座組の空気が一気に明るくなった。
それならば予定が合わなかった他のメンバーも出られないか、と田島さんも提案して下さり声を掛けた。
結果、映像出演を合わせて出演者は15名。
これがこの作品に必要なメンバーだったんだよ、と言わんばかりに、歯車がぴったりと噛み合う感覚さえしたのを覚えている。
「ロボットを使えば物語研究所らしい公演ができるかな」
そんなあの日の私の思い浮かびは今、約一年の時を経てあの日描いたガラクタ山として形になりました。
私は、0から1しか生み出せない存在です。
それを拾ってくれる人達がいないと、1のままなんです。奇跡の様なこの座組はその1が、100、1000、
10000ぐらいにまで膨れあがっている感覚があります
尽力という言葉がぴったりな程に、各スタッフさん、役者さんが全力を尽くしてくださっている。本当に感謝しかありません。
今また感染者が増えているこの世の中で、明日も演劇ができますようにと祈りながら眠りにつく。
朝になって皆が元気と分かりひと息を吐く。
公演ができる、それ自体が今は奇跡で。
舞台「ガラクタ姫とアポストロフ」
役者、スタッフ共に最高の座組です。
この作品には、このメンバーが必要だったんだ。
胸を張って言える。
この奇跡の様な公演を、奇跡の様な時間を、是非まだ演劇ができる今、見に来てほしい。体験しにきてほしい。
今日と日曜。
まだお席余裕があります。
最後、10000を無限にしてくださるのはお客様。
この奇跡に、会いに来ていただけましたらこれ以上の幸せはありません。
皆様と、物語の中でお会いできますように。