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26日の日本市場は円相場が上昇が加速している。金融当局の為替介入への警戒感から円が買われている。円高を受けてインフレ抑制期待から債券は上昇(金利は低下)、株式は大幅安となっている。
円相場は対ドルで154円前後とニューヨーク市場終値に比べた上げ幅が1%を超えた。植田和男日本銀行総裁の23日会見中に円安に振れた後、市場関係者によると米国時間にニューヨーク連銀が主要銀行に対して参考為替レートの提示を求めるレートチェックをしたことで、急速に円高に動いた。高市早苗首相の25日発言も加わり、円が一段と買われている。
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総選挙を控え、物価押し上げや金利上昇圧力につながる円安の阻止に金融当局が動き始め、金融市場全体のボラティリティー(変動率)を高めている。日銀利上げについても市場の見立てはやや前倒しになっている。
みずほ銀行国際為替部の長谷川久悟マーケット・エコノミストは、わざわざ米財務省の指示で米金融政策当局がレートチェックをしたとすれば、市場は日米当局による「協調介入」を意識することになると指摘した。「実現に向けたハードルは高い」とみているが、仮に協調介入が実施されれば、日本の単独介入と異なり原資の制約がなくなるため、円安抑制の「効果は期待できる」とした。
国内債券・為替・株式相場の動き-午前11時半過ぎ |
- 円は対ドルでニューヨーク終値比1.1%高の154円ちょうど
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- 長期国債先物3月物は前週末比22銭高の131円58銭
- 新発10年国債利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い2.225%
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- 東証株価指数(TOPIX)午前終値は2.1%安の3552.68
- 日経平均株価は1.9%安の5万2812円45銭
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為替
円の対ドル相場は154円台前後で値動きの荒い展開となっている。当局の介入への警戒感からドルの上値は重い。一時153円台まで上げた。
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オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは「急激に円高が進んだため、円売りポジションが整理されているのだろう」と指摘。米金融当局がレートチェックを行ったのはサプライズで、協調介入への連想が尾を引いていると語る。
その上で実際に介入が行われるとすれば日本の単独介入になると予想。当局が今の水準からさらに円を押し上げ「150円を目指すことはない」とみており、しばらくは当局の市場のにらみ合いが続くとみている。
一方、中期的な円安期待は引き続き強い。野村証券の松沢中チーフストラテジストはリポートで、食品減税案の浮上後、投機勢の円売りが膨らんだわけではないことも踏まえると、当局の対応がレートチェックにとどまれば、投機ポジションの巻き戻しによる円高は長続きしないと指摘。円安を止めるには実弾介入と日銀による利上げ前倒しが必要との見方を示した。
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債券
債券は上昇。円高進行を受けてインフレ抑制への期待から買いが優勢になっている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは、日銀の植田総裁の会見が「展望リポートよりハト派的な印象だった」ことや、円高が債券の支えになると指摘する。ただ、米国が「次は日銀が利上げを行う番だとみている可能性もあり、単純に円高で買いとは言いづらい面もある」と述べた。
みずほ銀の長谷川氏は、レートチェックをした米当局の真意が円安阻止を通じた日本国債市場の安定化にあるならば「本邦当局には財政拡張的な姿勢抑制を含めた市場沈静化策が求められる」としている。
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株式
日本株相場は反落。日経平均株価の下げ幅は一時1000円を超えた。為替介入への警戒感から円相場が対ドルで急伸したことや、高市内閣の支持率が低下したとの報道を受けて売りが膨らんでいる。
ほぼ全業種で売りが先行し、自動車や電機、銀行、商社などが安い。トヨタ自動車株は一時4%超下げた。トランプ米大統領が、カナダが中国と貿易協定を締結した場合、カナダに100%の関税を課すと述べたことも重しになっている。
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東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、株には円高がマイナスとなるだろうと指摘。場合によっては145円程度まで円が買われる可能性もあり、どこまで円高が進むのかが焦点だと話した。衆議院選挙は従来、与党の圧倒的な勝利が予想されてきたが、世論調査で国民は解散に好意的でないという結果が出ており、選挙までは懸念が先行する可能性があると述べた。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は、内需型の小売りやコンテンツなどが堅調であり、市場は狼狽売りにはなっていないと指摘。「円高を受けていったん外需が売られているが、日本株のウエートを全部落とさずに資金を移している動きだ」と述べた。