2026年7月9日午後 3:12 GMT+925分前更新 Reuters
9日午後の東京円債市場で、新発10年国債利回り(長期金利)が前営業日比3.5ベーシスポイント(bp)上昇の2.900%をつけ、1996年9月以来約30年ぶりの高水準を更新した。国債先物は引き続き軟調。中心限月9月限は前営業日比20銭安の126円38銭近辺で推移している。
市場関係者に見方を聞いた。
◎金利低下の材料乏しい、節目の3%を意識
<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア債券ストラテジスト 大塚崇広氏>
日銀の政策が後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」への懸念が、「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)の原案に金融政策に関する文言が盛り込まれたことでさらに強まった。
中東情勢の緊迫化に伴う原油高でインフレが再び意識されたことも、ビハインド・ザ・カーブ懸念を後押しする形となり、足元の金利上昇圧力を強めた格好だ。
財政政策に対しては、アセットスワップ・スプレッドの動きなどを踏まえると、そこまで警戒感が強いわけではない。ただ、先を見越した時に、消費減税や2040年度までに官民で累計370兆円超の投資、防衛費など財政拡張への懸念はくすぶりやすい。
足元では金利低下材料が乏しく、長期金利は節目の3%が意識されていく。
長期金利が3%強で、ターミナルレート(日銀利上げの最終到達点)予想の2.5%を織り込む水準となる。中立金利の上限を上回っていく織り込みになることから、いよいよビハインド・ザ・カーブが意識される。
政府が名目3%超の経済成長を掲げる中、長期金利の水準がこの名目成長率を超えてくると、ドーマー条件が成り立たなくなり、財政の持続性に対しても懸念が出てくるだろう。
◎金利上昇止まるきっかけ見えず、来週に3%もあり得る
<岡三証券 チーフ債券ストラテジスト 長谷川直也氏>
長期金利の2.9%という水準には、きりのいい新値という以外に特別な意味はない。金利が上がって新値をつけたタイミングでいったん買いを入れる投資家は当然いるが、今はどの投資家も金利水準を下げていくような買い方をする局面ではない。
金利の上昇ペースは今後徐々に緩やかになっていくだろうが、なかなか金利上昇が止まるきっかけは見いだしにくい状況だ。近々出るであろう「骨太の方針」の内容や消費税減税の話で、もし市場の財政拡張懸念を和らげるような材料が出てくれば、これまでの動きが巻き戻され金利が低下すると考えられる。一方でそれが無い場合は、長期金利は3%に向かって上昇していくと思う。あと10ベーシスポイント(bp)しかないので、早ければ来週に3.0%をつけてもおかしくはない。
きょう実施された5年債入札は無難な結果で、入札自体は市場がネガティブな評価をするものではなかったが、一方で足元の地合いの悪さを改善させるほどの強さもなかった。捉え方は色々あるのではっきりしたことは分からないが、中期債に一定の需要があることが確認された事実があるので、そこを足にして年限の長い債券を売っていく、つまりイールドカーブのスティープ化を見越した売りが出ている可能性がある。あるいは、証券会社が5年債を抱えたため、先物や長い年限の債券でその処理を行っている可能性も考えられるだろう。