2026年5月12日 4:30 日経新聞
11日の東京株式市場で半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(285A)の時価総額が25兆円台に乗せ、終値ベースで初めて東京エレクトロン(8035)を上回るとともに、東証プライム市場に上場する電気機器セクターでついに首位に立った。
旺盛な人工知能(AI)向けメモリー需要による業績拡大期待を追い風に、上場からわずか1年5カ月でセクターのナンバーワン銘柄に上りつめた。
連休明け以降、キオクシアには連日で買いが集まっている。11日は前週末比4940円(11.10%)高の4万9430円まで上昇し、上場来高値を更新した。売買代金も膨らんでおり、11日は1兆8461億円と、8日に続いて連日で単一銘柄の日中取引として過去最高を更新した。
キオクシアの11日の終値は1450円(3.25%)高の4万5940円で、時価総額は25兆872億円に達した。終値として初めて東エレクの時価総額(24兆3751億円)を抜き、電気機器セクター首位の座を手に入れた。
東証プライム市場の電気機器セクターには半導体検査装置のアドバンテスト(6857)のほか、送配電設備が好調な日立製作所(6501)、ゲーム事業の拡大が続くソニーグループ(6758)など、日本を代表する企業が名を連ねる。
東証プライム市場全体でも時価総額はトヨタ自動車(7203)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、ソフトバンクグループ(9984)に次いで4位に立った。
足元のキオクシア株の大幅高を演出しているのは、海外の競合他社で相次ぐ好決算だ。韓国サムスン電子が4月30日に発表した2026年1〜3月期決算で、半導体部門の営業利益は前年同期比49倍に急増し四半期ベースで過去最高となった。
キオクシアとメモリーを共同開発する米サンディスクのほか、米半導体アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が発表した26年1〜3月期決算も良好で、AI向け半導体メモリーの需要拡大を裏付ける内容だった。
岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストが注目するのは「海外のメモリー各社がこれまでの主流だった随時契約から3〜5年の長期契約を締結する動きを強めている」点だ。
サムスンは3月にAMDとの間でAI向けメモリーの供給契約を結んだと発表。メモリー需給の逼迫感は長期記憶用のNAND、短期記憶用のDRAMともに強く、韓国SKハイニックスやサンディスクも供給側に優位な条件で長期契約に踏み切っているとみられる。
米アップルを最大顧客に持つとされるキオクシアだが、足元では米半導体大手エヌビディアとの連携も深める。エヌビディアとはAIサーバー向けに性能を高めた記憶装置、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)を共同で開発。27年をメドに製品化を目指しており、長期契約の連想が働きやすい。
メモリー各社はこれまで、市況に左右されやすい業績の振れ幅の大きさが常に警戒されてきた。だが「長期契約で業績が安定的に成長していけば、シクリカル(景気循環)による株価のディスカウント要因が薄れ、株価の見直しが一段と進む可能性がある」(岩井コスモの斎藤氏)。
利益の変化率の大きさは半導体製造装置メーカーに比べても桁違いとあって、キオクシアの一方的な上値追いにつながっているようだ。
キオクシアの株価は24年12月の上場時の公開価格(1455円)から30倍以上に上昇したが、市場関係者の多くはなお「通過点」(岩井コスモの斎藤氏)と強気だ。市場予想平均のQUICKコンセンサス(7日時点、9社)によると、27年3月期の売上高にあたる売上収益(国際会計基準)は26年3月期の市場予想と比べ2.8倍の6兆2518億円、純利益は5.5倍の2兆8389億円を見込む。まずは15日の決算発表で、これまで織り込んできた市場の期待値をさらに上回るかどうかが最大の焦点となる。
