更新日時:

  • 2040年に米中に並ぶ第三極目指す、現状の政府投資は米国の100分の1
  • 国産半導体、40年に売上高40兆円の目標も-61製品・技術を優先支援

政府は10日、成長が見込まれる人工知能(AI)ロボットで世界シェア3割超、20兆円相当の市場獲得を目標に掲げることなどを柱とする官民投資のロードマップ(行程表)素案を公表した。

  

日本成長戦略会議で提示した。政府は官民投資の戦略17分野で61の製品・技術を選定し、優先的に支援する方針を提示した。うちAIロボットを含む「フィジカルAI」やその中核を担う半導体、医薬品など27項目に関しては先行して投資内容などの検討を進めた。

  

高市早苗首相は同会議で、担当閣僚に対し、内容をさらに精査し、27項目以外もスピード感を持って行程表を策定するよう指示。「日本が取り得る勝ち筋を見いだし、供給および需要の両面にアプローチする多角的な観点からの総合支援策」と「国内投資の内容、規模、時期」などを明らかにするよう求めた。

  

フィジカルAIへの対応は行程表素案の冒頭に掲載した。特に有望視されるAIロボットの市場規模は「2040年に約60兆円規模へ成長すると見込まれる」とし、「米中に並ぶ第三極」の地位を目指すとした。一方、官民の具体的な投資額や時期は素案では明記しなかった。他の多くの分野と同様、最終取りまとめまでに示すという。

 

政府のAI関連投資額は23年までの5年間で約10億ドルと米国の30分の1以下で、中国、英国、インド、カナダよりも小さい。24年の民間のAI投資は米国の100分の1となっている。今後は財政の持続可能性を確保しつつ、目標達成に向けた官民投資の道筋を描けるかが焦点だ。

  

同素案では半導体に関し、40年に国産半導体の売上高40兆円を目指すという新たな目標を掲げた。これまで30年に15兆円を目指すとしていたが、さらなる成長を目指す。自動車産業やデータセンター、AIロボティクスなどに不可欠な半導体を念頭に置く。

  

フィジカルAIの関連企業には、ファナック、安川電機、三菱電機、ソニーグループなどが挙げられる。

 

ドローン・医薬品

防衛装備としてのドローンの重要性が高まる中、無人航空機の量産体制の構築も盛り込んだ。30年に8万台の機体や重要部品の供給確保という従来目標を改めて明記。災害対応、インフラ老朽化、物流人手不足などで活用できるよう、制度整備も進める。

  

ウクライナやイランではドローンを用いた戦い方に注目が集まっている。高市首相は防衛産業分野について、最新技術を「これまでにない規模で防衛調達につなげる新たな道筋」を検討し、具体的な結論を得るよう、赤沢亮正経済産業相と小泉進次郎防衛相に指示した。

  

医薬品については、バイオ医薬品の国産化や創薬ベンチャーの支援、世界で初めて承認される「ファーストインクラス製品」、有用性が最も優れる「ベストインクラス製品」の開発・供給体制の確保などを進める。

  

官民投資を進める政府方針に関し、インフレや円安リスクを懸念する声も上がる。

  

第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは10日の電話取材で、17分野全ての投資を進めることで需要超過が加速し、「インフレリスクが増える」と述べた。供給不足で輸入も増え、円安圧力になる懸念も示した。