今回は新宿ショーで入手した標本を詳しく見てみたいと思います。

Gryposaurus.sp 母岩付きの歯冠です。

標本長 44.4mm、歯冠部高さ24.9mm、幅11.4mm。

歯冠部の高さと幅の比率は2.18でした。

伊ブースで入手したものですが、キャプション他表示がなく

主さんに通訳さんを通して確認したところ・・・

ジョディスリバー累層産グリポサウルスの歯冠で、ショーケースに並んだ他のグリポサウルスの歯冠を指さして、説明をしてくれました。^^

ただ、グリポってジョディスで出てたっけ???ではあったのですが、接着箇所があるものの、歯根部分も残っていたので、お迎えしました。^^

 

では詳しく見て行きましょう。

状態は良いですね。歯突部には小さいですが咬耗面も確認できますので、使われ始めたばかりの歯であることがわかります。^^

歯突部側には細かい小歯が並び、中央のリッジは緩く正弦波を描くように発生しています。

ハドロサウルス類の歯冠に見られる、エナメル質の縞模様も確認できました。^^

 

ではこの歯冠がグリポサウルスのものかどうかですが・・・

産出層がモンタナ州のジョディスリバー累層(カンパニアン期の中頃、7900~7530万年前)とすると、現在知られているハドロサウルス類の化石では、ブラキロフォサウルス、プロブラキロフォサウルス、コリトサウルスの3属で、グリポサウルスの名がありません。

ただ、古い論文を漁るとグリポサウルス名で出来る文献があるため、最近流通したものではなくコレクターの放出品の可能性が高いと思いました。

実際値段もこのご時世としては安かったので・・・^^

 

あとコリトサウルスの可能性ですが、ランベオサウルス類の歯冠部の高さと幅の比率はもっと大きい(細長い)ので×。

後はブラキロフォかプロブラキロフォとなりそうですが、両者が比較言出来るほどの材料が揃っていないのが、実情でした。^^;

ただ参考にした論文:モンタナ州北中部のカンパニアン・ジュディス川累層から出土した中間鼻紋を持つ新種のブラキロフォサウルス(A New Brachylophosaurin Hadrosaur (Dinosauria: Ornithischia) with an Intermediate Nasal Crest from the Campanian Judith River Formation of Northcentral Montana)Elizabeth A. Freedman Fowler & John R. Horner 2015 で、歯骨歯に関する記述があり、小歯は上顎骨歯に比べ非常に小さいとの記述あることから、ブラキロフォサウルスの歯骨歯とすることが現時点では正解に近いのかなと思いました^^

 

今回は以上です。

ではまた^^