池袋ショーで手に入れた標本の詳細アップ、今回はボトリオスポンディルスの歯冠です。

こちらの標本も北米ブース、G.ヘスレップFさんから手に入れたものです。

キャプションには

 Bothriospondylus.madagascariensis

マダガスカル共和国、カモロ産

ジュラ紀 オックスフォーディアン

となっています。

標本長は22.8mm、歯冠長19.6mm、幅13.9mm、歯根部は8.9mmでした。

 

では細部を見ていきましょう。

まずは頬側と舌側から

頬側の表面には縮緬状の皺と細いリッジが数本存在し、遠心側(顎側)がくびれています。

舌側は皺というよりはリッジに近いものが多数あり、スプーン状に窪んでおり、近心側(口先側)から遠心側にかけて、連続した咬耗面が形成されています。

咬耗面は舌側に斜めに形成されていて、おそらく左上顎骨歯と思われます。

カマラサウルスなどは縁に水平にすり減っていたりしますので、ここらが顎の可動の仕方の違いなのでしょうね。^^

歯根は真円に近い形状でした。

以上がこの歯冠の特徴なのですが、実際にこの歯冠がボトリオスポンディルスのものかどうか?ということです。

 

論文を検索し、Gabriele bindellini and Cristiano dal sasso 2019年の”Sauropod teeth from the Middle Jurassic of Madagascar, and the oldest record of Titanosauriformes” マダガスカルのジュラ紀中期の竜脚類の歯、ティタノサウルス目最古の記録

※閲覧は可 有料ダウンロード論文

に参考となる記述や写真があり、役立ちました。

論文ではマダガスカル北西部のマハジャンガ盆地のイサロⅢb発掘場などから産出した歯冠化石を8形態に分類し、4種の竜脚類(ボトリオスポンディルス、ラパレントサウルス、アーケオドントサウルス、ディプロドコイデア類)に分類しています。

論文から参照するとモルフォタイプJ1のJという標本に形状が似ており、論文ではJ1とJ2タイプがボトリオスポンディルスと論じているので、形状ではボトリオスポンディルスの歯冠とみて良いと思いました。

 

ただボトリオスポンディルスの属名自体はイギリス産のホロタイプ標本が無効名とされていて、B.マダガスカリエンシスも宙ぶらりんの状態でしたが、2020年にNarindasaurus(ナリンダサウルス)という新しい属名が与えられました。

また手に入れた標本産出地のカモロですが、論文の地層図に記されているAmbondromamy(アンボロドマミー)のすぐ南にカモロは位置し、同じジュラ紀中期バトニアンのSakahara塁層ということで、より確実となりました。^^

 

バイヤーズデイで見ていて気になっていた標本で、日曜日まで残るか分かりませんでしたが、残っていて良かったです。

以上で、池袋ショーでお迎えした標本の検証は終了です。

ではまた。^^