ウクライナで、また大きな悲劇が起こりました。


6月6日、ヘルソン州のロシア支配地にある、カホフカ水力発電所のダムが決壊し、ドニプロ川流域の多くの地域(約600平方Km)が浸水し、多くの家屋が水に浸かりました。



その結果、住民数千人(数万人?)が避難を余儀なくされ、水の供給が止まったことで、70万人以上?の飲料水が不足(国連発表)、またロシア軍が埋めた多くの地雷が流されている…


自然環境や生態系の破壊も予想されたり、広大な農地が水に浸かったり、潅漑用水が確保できなかったりすることで、世界に穀物を供給する農業が何年にも渡ってできなくなるなど、途方もなく重大な危機です。


これらの甚大な被害の影響が、長期間に及ぶ恐れがあるとのことで、本当に恐ろしいことです。



もし人為的に破壊されたとしたら、ロシア、ウクライナどちら側がしたかなど、まだはっきりしていないことが多く、ここでは言及しませんが、国連グテーレス事務総長が言ったように、「ロシアが侵攻を始めなければ起こらなかったこと」とは言えるでしょう。


そもそも戦時にダムを攻撃対象とすることは、原子力発電所と並んで、ジュネーブ条約で禁じられているとのこと、意図的な破壊だとすれば、戦争犯罪として厳しく非難されるべきで、 現在、ICC=国際刑事裁判所による調査が始まっていると言うことです。



 現在、被害住民の救出にあたって、ウクライナ側の避難活動中に、ロシア側から繰り返し砲撃があり、避難者やボランティアなどにも負傷者が出ているとの報道もあります。


また、ロシア支配地域の住民の救助が遅れているとのことで、国連人権高等弁務官事務所の報道官は、「ロシアの支配地域での支援活動をロシア政府が拒否している」と公表しました。



災害時の避難民に対するロシアのこのような行動は、人道的立場から見て、到底納得できるものではありません。


https://news.yahoo.co.jp/articles/ea494968764a23deaec0afa798230d68da93f92a 






以下は、今回ダムが決壊した、ヘルソン州の住民の取材記事ですが、この一年余りのヘルソンでの生活が、どれほど悲惨なものか、わかり易くレポートされています。

一部抜粋して転載させていただきますね。


 


アングル:ヘルソンの終わらない悪夢 ロ支配・砲撃、そして洪水       By Reuters Staff



    
 ウクライナ南部ヘルソン州ヘルソン市に住むイリナ・ラデツカさん(52)にとって、カホフカ水力発電所のダム爆破による壊滅的な洪水は、戦争開始から1年以上続く苦難の「最新章」となった。

「新しい恋は昔の恋を上書きすると言うけれど、悲劇にも同じ事が言えるかもしれない」と語るラデツカさんは、学校の副校長だ。

昨年2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、ヘルソンほど厳しい苦難が続いている場所は珍しい。

ラデツカさんはこれまで投獄や殴打、ロケット弾による攻撃を生き抜いてきた。


戦争前に28万人が暮らしていたヘルソン市は、昨年3月2日にロシア軍に占拠された。

11月初めにウクライナ軍によって解放されたものの、その後もドニエプル川東岸からのロシア軍の砲撃に繰り返し悩まされてきた。

そして、今月、ダム決壊の影響でヘルソン市の広い範囲と近隣の村々が浸水し、新たな悪夢が始まった。

ラデツカさんの学校は最近、砲撃のリスクがあるためオンライン授業しか行っていなかった。洪水の被害が最も激しい東岸のロシア側支配地域に住む生徒も31人いた。


<ロシア支配時の恐怖>

ラデツカさんは、昨年8月17日に、学校で新たな校長(ロシアが任命)と言い争いになった翌日、FSBに拘束されてテロの罪で禁錮25年を言い渡されたと話す。

「2人用の監房に7人が詰め込まれた。狭いベッドが2台あるだけで、残りの人は床に寝た」という。

ラデツカさんの話では、殴打によって背骨に傷を負い、まだ治っていない。自分の行為を謝罪する動画の撮影に応じるか、さもなければ処刑すると言われ、動画を撮ったことで9日後に解放された。


<解放、そして砲撃>

ヘルソンが解放された時、多くの住民は歓喜に包まれた。だが、喜びもつかの間、ドニエプル川の対岸から迫撃やロケット弾の攻撃がほぼ毎日行われるようになった。

ラデツカさんによると、自身が勤める学校も、ダム決壊の前日を含めて何度か攻撃を受けた。

「(学校が攻撃を受けるという)この事実を飲み込み、慣れる時間さえないうちに新しい悲劇に見舞われた」とラデツカさんは語る。

「死であれ、破壊であれ、恐怖であれ、戦争の影響に直面していない家庭はもう1つもないと思う。人々は変わってしまった。子どもたちは目に見えて変わった。大人びてしまった。」と。

(Max Hunder記者)



ロシアのウクライナ侵攻によって、多くの人々の人生が苦難の人生に変わってしまった…
 
本当に痛ましく、悲惨な戦争です。


この戦争が 
1日も早く
終わりますように!


補足

コメント欄で紹介した、停戦を考える上で参考になりそうな記事です。
コメント欄からコピーできないようなのでここに載せておきますね。