「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」

原題 RADIOACTIVE

2019年 イギリス

【ムービープラス】

 

1903年にノーベル物理賞、1911年に同化学賞を受賞し、女性として唯一2度のノーベル賞受賞を果たしたキュリー夫人の伝記ドラマ

 

19世紀のパリ

ポーランド出身の女性研究者マリ・スクウォドフスカ(ロザムンド・パイク)は女性というだけで思うように研究の機会を得られずにいました

そんな中、科学者ピエール・キュリーと出会い、結婚、彼女は夫の支援もあり研究に没頭する生活を送れるようになります

やがてラジウムとポロニウムという新しい元素を発見し、夫婦でノーベル賞を受賞

しかし、夫ピエールは不慮の事故で他界、発見したラジウムは核兵器に利用されるようになってしまいます

 

キュリー夫人がユダヤ系ポーランド人女性であったことから学会でひどい差別を受けていたとは知らなかったです

また第一次大戦中には移動レントゲン車を提供し、戦地で怪我を負った兵士の生存率が大幅にあがったとのこと

映画では娘、イレーヌ(アニャ・テイラー=ジョイ)と共に奮闘していました

イレーヌは夫・フレデリックと共に人工的に放射能を作り出したことにより1935年にノーベル化学賞を受賞していたそうで、これまた驚き

 

我が道を突き進むキュリー夫人の鉄の意志に感じ入ると同時に、彼女が生きた時代の背景を知ることができて良かったです

 

ラジウムの核兵器利用をわかりやすく説明するために、ネバダ核実験場、広島原爆投下、チェルノブイリ原発事故の映像が流れます

特に詳しく描かれたネバダ核実験場の様は背筋が凍る思いがしました

それはキュリー夫人の望んだことではなかったけれど…科学技術の進歩に伴う問題は今後も続くのでしょうね

 

癖があって好き嫌いが別れる女優さんですがロザムンド・パイクは適役だったと思います

娘のイレーヌを演じたアニャ・テイラー=ジョイはNetflixドラマ「クイーンズ・ギャンビット」での演技が印象深く大きな瞳が意志の強さを表すのにぴったりでした

 

 

 

 

 

「あのこと」

原題 L’EVENEMENT

英題 HAPNNING

2021年 フランス

【ムービープラス】

 

原作 アニー・エルノー「事件」

 

1960年代のフランス

労働者階級に生まれたアンヌ(アナマリア・バルトロメイ)は、貧しいながらも持ち前の知性と努力で大学に進学

未来を掴むための学位にも手が届こうとしていましたが、大切な試験を前に自分が妊娠していることに気づきます

中絶が違法とされる中、解決策を見出すべく奔走するアンヌでしたが…

 

子の父親も友人も助けてくれず、勿論家族にも言えず全て一人で立ち向かわざるを得ないアンヌ

堕胎の試みが失敗に終わるなか、アンヌの12週間にわたる焦燥をアンヌの目線から臨場感たっぷりに描きます

暗いし重いテーマですが観ておくべき作品です

本作の時代から60年が経った今でも女性の立場の弱さは基本変わっていないのが哀しい…

 

アンヌがお腹の中の新しい命に全く愛着が無いのが気になりましたが、最後の最後…

ショックでした