時代小説文庫(ハルキ文庫)
2018年2月 第1刷発行
271頁
着物始末暦シリーズ第10巻
着物の始末屋・余一が着物から人の心を読み取り困りごとを解決していくシリーズ
いよいよ最終巻です
商売敵とはいえ、三百年も続いた京の呉服問屋・井筒屋の暖簾をこのまま消してよいものか
呉服太物問屋、大隅屋の若旦那・綾太郎は悩んだ末、本両替商・後藤屋の大旦那に相談に行き、まさかの条件を突き付けられます
決着をつけるため、着物始末屋の余一、柳原土手の古着屋・六助と共に井筒屋へと向かいます
一方、余一の子を宿したお糸は、これから産まれてくる我が子の幸せを願い、ひと針ひと針、愛情を込めておしめを縫っていました
「刻の値打ち」「対決」「わかれ道」「結び布」
井筒屋のゴタゴタも一件落着、余一とお糸に無事赤ん坊が生まれ、めでたしめでたし
最終巻のタイトルの意味に納得
なるほどです
ただ、千吉が京へ上る件や六助を襲った2人組と井筒屋の関係がはっきりしないまま終わってしまったのには不満が残ります
登場人物たちの後日譚があったら読みたいなぁ
巻末の付録『主な着物柄』が毎回楽しみでした
現代まで脈々と受け継がれている伝統柄
これからも残っていって欲しいものです
実情を知らないのでアレですが文化遺産として世界遺産登録は無理かしら