時代小説文庫(ハルキ文庫)

2017年2月 第1刷発行

272頁

 

着物始末暦シリーズ第8巻

 

着物の始末屋・余一が着物から人の心を読み取り困りごとを解決していくシリーズ

 

柳原の土手で古着屋を営む六助は、朝から落ち着きません

なぜなら、今日は着物始末職人の余一と一膳飯屋の看板娘・お糸の待ちに待った祝言の日だからです

身支度を整え、余一の元へ向かおうとする六助の前に、井筒屋江戸店店主・愁介が現れます

いったい愁介は何を企んでいるのでしょう

 

「異国の花」「天女の打掛」「菊の縁」「波がたみ」

ようやく夫婦になれた余一とお糸ですが、お糸は余一に対して遠慮や気遣いをするあまり心が乱れ、こんなはずじゃなかった、と悩ましい日々を送っています

が、一枚の着物始末をきっかけに、互いに言いたいことを言い、とことん話し合い、2人は少しだけ本物の夫婦に近づけたようです

お糸が山王様で出会った尼僧が余一の過去を知る人物と想像され、いよいよ井筒屋との繋がりが明らかになりますが、愁介の嫌がらせはまだ続くようで…

六助はどんどん善人になっていくし、おみつの猪突猛進は相変わらずですが、それが幸いして一人の若御新造の心と身体を救うなど、どんどんハッピーエンドに向かって物語が収束しそうな?

しかし、井筒屋がどう動くか、まだまだ油断できません

身請けされる花魁・唐橋が道中で着る打掛がどんなものに仕上がるのか

仕事を請けた大隈屋綾太郎は無事納品できるのか

次巻に持ち越しです