集英社

2020年4月 第1刷発行

2020年6月 第3刷発行

248頁

 

仕事に行けなくなり自宅アパートでほぼ引き籠り生活をしていた元・書店員の一香

近所のスーパーで見た求人広告に応募し採用されます

仕事は、古い洋館の家事手伝い

採用された理由は「嘘の香りがしなかったこと」

その洋館では調香師の小川朔が、幼馴染の探偵・新城と共に、オーダーメイドで客の望む「香り」を作る仕事をしていました

人並外れた嗅覚を持つ朔のもとには、誰にも言えない秘密を抱えた女性や、失踪した娘の手がかりを求める親など、様々な事情を抱えた依頼人が次々訪れます

一香は、朔の近くにいるうちに、彼の天才であるがゆえの孤独に気づき始めます

 

朔が作り出す香り、料理、飲み物は古い洋館の庭で育てられている花、野菜、ハーブを使って作られています

それらに癒され、刺激を受け、自分の過去に向き合うことができた一香

ですが、彼女の変化に気づいた朔は一香に洋館を去るよう告げます

 

文字なのに香りが漂ってくる気がする不思議な小説でした

繊細で静謐な世界は、小川洋子さんや川上弘美さんの世界観に近いと思ったら、文庫本の解説は小川洋子さんとのこと

書店にあったら解説だけ立ち読みしてこようかしら<m(__)m>