角川書店

2023年2月 初版発行

317頁

 

10年刻みで遡りながら明かされる、ある家族たちの軌跡をたどる全6章

 

2029年のごみ屋敷

韓国からきた異父兄の家出

おばあちゃんのお通夜で通常運転のママ

うちの家族はふつうとはちがう

 

2019年のクルーズ船

クルーズ船で一緒になった夫婦と年若の青年

なんだかすべてがパフォーマンスに見えた

 

2009年のロシアンルーレット

クリスマスの夜のダイヤの指輪

ママの掌の上で踊らされているおねえちゃんと私

 

1999年の海の家

ノストラダムス後も終わらない世界

「ママはパパが死ぬのを待っていたんじゃないか」と言った幼馴染

 

1989年のお葬式

親友からその亭主の死を知らせる電話

職場で出会い、結婚も出産も同じ年の親友

 

1979年の子どもたち

おなかの中の三か月になる命

ねえ、おねえちゃん、私たちこれでよかったんだよね?

 

過去に遡るに従い、この家族たちの秘密の重さに驚かされます

『まにまに』には成り行きに任せて行動するという意味がありますが、それで良いのか、疑問に感じるところが多かったです

 

でも、各時代の登場人物の言葉遣い、社会の空気感が上手く描かれていて、容易くその時代に馴染むことができました

第6章から逆に読むとまた新鮮な感想を持てるかもしれません