文藝春秋

上巻 2019年12月 第1刷発行

351頁

下巻 2019年12月 第1刷発行

348頁

 

江戸260年の泰平の世の間に積もり積もった借金はなんと25万両

とんでもない負債を知った長男はショックで急死

丹生山松平家12代当主は、おつむの弱い次男、病弱な三男を飛び越えて庶子の四男・小四郎に後を継がせて隠居すると密かに「大名倒産」の準備を進めます

 

何も知らず丹生山松平家13代当主となった松平和泉守信房(小四郎)、21歳

糞がつくほどの真面目さ、誠実さを武器に、なんとか倒産を防ごうと必死の「経営再建」に乗り出します

家臣らと共に倹約、産業振興、なりふり構わぬ金策も焼け石に水

そこに絡んでくるのが貧乏神と七福神

貧乏神が善行を行う羽目になった経緯も無理がなく可笑しいのなんのって

人物と神の配置と絡みもお見事です

 

浅田次郎さんの著書で幕末江戸を舞台に武士の奮闘に神様が関わる話といえば「憑神」を思い出します

武士たるものは…悲壮な結末でしたが、本作は涙あり笑いありの極上エンタメ

楽しく読み終えました

 

現代日本の借金構造そのまま

日本社会は神様でもどうしようもないほど腐ってるのかもネ