光文社文庫

2001年4月 第1刷発行

2001年9月 第4刷発行

解説・橋爪大三郎「類型を使って類型をつき破る試み」

 

それぞれの事情に置かれた男女が、大切な他者につながろうとしてつながり切れない、孤独のなかにもがいている

恋愛小説の体をとりながら、その実質は孤独小説

人生、こんなはずではなかった

どうしようもなく過ぎ去ってしまった時間

取り返しのつかない過去

主人公の誰もが不本意な悔悟の念にとらわれています

 

「踊子」「スターダスト・レビュー」「かくれんぼ」「うたかた」「迷惑な死体」「金の鎖」「ファイナル・ラック」「見知らぬ妻へ」

 

借金逃れの為の偽装離婚をきっかけに、実際に離婚してしまった夫婦

思う相手と結ばれないまま不本意な独身生活を続ける男女

巣立った子どもを見送り、夫に先立たれ、孤独死を選ぶ老婦人

 

舞台となる新宿歌舞伎町、郊外の新築団地、中山競馬場などなどに縁がなくてピンとこなくて、こんな人生もありなんだ、とあくまで傍観者で登場人物たちへの共感が持てず残念

ただ、彼らの孤独や切なさは分かりました

 

浅田次郎さんは時代物のほうが好みです