新潮社

2016年3月 発行

2016年9月 6刷

347頁

 

偉大な絵師、葛飾北斎の娘に生まれ、その右腕として様々な絵を描く一方、自分だけの光と色を終生追い続けた応為

自問自答を繰り返す20代から傑作「吉原格子先之図」に到る60代までを描きます

 

好きでもない夫との別れ、病に倒れた父の看病、厄介な甥・時太郎の尻拭い、兄弟子・善次郎へのままならぬ恋情

 

応為を主人公に描いたものは杉浦日向子「百日紅」しか知りません

他は北斎や英泉(善次郎)を描いたものに出てくるくらいでしょうか

応為の生涯を長編で読めるとは嬉しいことです

 

家族や世間に翻弄されながら『絵師』としてしか生きられなかった応為

年老いてからようよう自分の表現に行きついた彼女の心を思い頁を閉じました

 

北斎と応為を描いた作品の中では一番ではないでしょうか

 

以前、本書を原作としたNHK制作、宮崎あおいさん主演のドラマを観ましたけど、あまり面白くなかった覚えがあります

ドラマには北斎が悪魔と呼んだ孫、時太郎が一切出てこなかったような?

物語に厚みを持たせるのには最強のキャラだと思うのですけどね

 

 

朝井まかてさん、初読みです

1959年生まれとのこと

自分とひとつ違いと知り驚きました

うんと若い方と思っていたのは朝井リョウさんと勘違いしていたからでした<m(__)m>