邦画を3本

どれも良い映画でした

 

 

「幸福(しあわせ)のスイッチ」

2006年

【NHKBS】

 

和歌山県を舞台に、ガンコ親父と3人姉妹が繰り広げる人間模様を描いたハートウォーミングストーリー

 

儲けにならない仕事ばかり引き受ける電器屋の父・誠一郎(沢田研二)に反発して上京、デザイン会社で働く次女の怜(上野樹里)ですが、自分の仕事が評価されないのに腹を立て、会社を辞めてしまいます

そんな中、誠一郎が足の怪我で入院したと聞き、帰省

意図せず店を手伝うことになります

 

ひねくれた性格の怜が少しずつ父を理解し、他人に頭を下げることを身に着け、一人前の大人に成長していく様子が好ましかったです

こういう役は上野さんにピッタリです

対して、すぐ怒鳴ったり大声を出すけれど顧客第一主義の頑固親父、ジュリーも最高でした

地味な作品ですが、それぞれが自分の道を一生懸命生きていくのだ、というラストにじんわり温かな心持になりました

優しさがたくさん詰め込まれた良い映画です♪

 

 

 

 

 

「ツユクサ」

2022年

【Netflix】

 

過去を抱えながらも今日を明るく生きる女性に訪れる小さな奇跡をつづったヒューマンドラマ

 

小さな港町で暮らす五十嵐芙美(小林聡美)は、気心の知れた友人たち(平岩紙、江口のりこ)と他愛のない時間を過ごしたり、歳の離れた小さな親友・航平と遊びに出かけたり、車の運転中に隕石がぶつかるという信じがたい出来事に遭遇したりと、楽しい毎日を送っています

しかし、彼女が独りで暮らしているのには、ある哀しい理由がありました

ある日、芙美は町に引っ越してきた男性・篠田吾郎(松重豊)と運命的な出会いをします

 

よくありそうな大人の日常の中、芙美が断酒の会に参加したり、部屋に飾ってある息子と思われる少年の写真に語りかけたり、何気に謎めいた彼女の過去が温かいストーリーを通して徐々に明らかになっていきます

ツユクサの草笛を通して話をするようになった吾郎との関係が年齢の割にぎこちなくて純情で、微笑ましくて、こちらまでどぎまぎしてしまいました

キスのシーンで、いざ、で停電するところが良かったなー

 

平岩紙さんと江口のりこさんの存在感が大きかったです

 

    

 

 

 

 

 

「桜色の風が咲く」

2022年

【Eテレ】

 

世界で初めて盲ろう者の大学教授となった東京大学先端科学技術センター教授・福島智さんと母・令子さんの実話をもとに描いたヒューマンドラマ

 

関西の町で教師の夫・福島正美(吉沢悠)、元気な3人の息子と暮らす令子(小雪)

末息子の智は幼少期に失明するも家族の愛情に包まれて天真爛漫に育ち、東京の盲学校で充実した高校生活を送っていました

ところが18歳の時に聴力も失ってしまいます

暗闇と無音の世界で孤独に苛まれる智に希望を与えたのは、令子が考案した新しいコミュニケーション手段「指点字」でした

母子は勇気をもってひとつずつ困難を乗り越え、人生の可能性を切り拓いていきます

 

智につきっきりの令子と仕事と家事と息子2人の世話で疲れ果てる夫、寂しいと訴える次男

バラバラに壊れてしまいそうな一家を繋ぎとめたのは、思いの丈をぶつけた令子を受け取めた夫の懐の大きさでした

智に視力のあるうちに、と小旅行に出かけた先で撮影した家族写真から家族の強い絆が感じられます

 

青年期の智に田中偉登さん

聴力も失い、男版ヘレンケラーやな、と自嘲しながらも明るく強く前に進もうとする姿を好演されていました

でも、やはり一番は主演の小雪さんですね

実生活で子育てを経験されたこともあってか、真に母親でした

 

智と家族の人生、実際はもっともっと過酷だったことでしょう

頭が下がります

 

最初に幼い智を連れて行った病院の眼科医(リリー・フランキー)が観るのを止めようかと思うほど最悪でした

今思い出しても腹が立ちます!