新潮社

2020年8月 発行

2020年10月 3刷

305頁

 

2010年頃の東京

将棋に魅入られ、頂点を目指し、深みへ潜った男・夏尾は鳩森神社で不詰めの図式を拾って姿を消します

プロ棋士を目指したものの年齢制限で奨励会を去り、現在は将棋ライターとなっている主人公・北沢は美貌の女流二段・玖村と共に夏尾の行方を追って北海道の廃坑を訪れます

彼がそこで見たものは幻の棋道会の驚くべき地下神殿でした

 

将棋を少しは知っているほうが楽しめる謎解きミステリーで、将棋というスパイスを効かせた奥泉光さん独特の世界観が繰り広げられます

 

昨今のAI対決への苦言でしょうか

棋士は考える、AIは計算するだけだ、という件は確かに

人間とAIを同列に並べるなということかな

 

終盤にでてくる

北沢が迷い込んだ棋道会の対局場を描いた中の一文

木村十四世名人と対局しているのは愛知県出身の小学校三年生の子供で来年くらいには奨励会に入るだろう、プロになるのもすぐだ

藤井聡太さんのことですね

 

物語の“黒幕”が誰か、は想像した通りでしたが結末に至るまでの二転三転、読者の予想を裏切る展開に一気読みでした

 

実写かアニメか、映像化を期待します