幻冬舎文庫

2016年2月 初版発行

解説・杉江松恋

348頁

 

9つの連作短編集

1作品に1つ、主人公の気持ちを代弁する、あるいはそのよすがとなる楽曲が織り込まれています

 

「丘の上の馬鹿になりたい」-ザ・ビートルズ『フール・オン・ザ・ヒル』

「わけあって、舟唄」-八代亜紀『舟唄』

「黒魔術の女とお呼び」-サンタナ『哀愁のヨーロッパ』

「夢路はどこにあるの」-フォスター『夢路より』

「夕星に歌う」-ワーグナー『タンホイザー』

「UFOに乗ってモンスターが行くぞ」-ピンクレディー『UFO』『モンスター』『透明人間』他

「わたしだって、いつかはプリキュア」-アニメ、プリキュアの主題歌

「真夏の果実はかじりかけ」-サザンオールスターズ『真夏の果実』

「心配しないでベイビー、やっていけるから」-ビーチ・ボーイズ『ドント・ウォーリー・ベイビー』

 

世代や環境によってはドンピシャな方が多いかも

自分はドンピシャまではありませんが近いのはあったかな

 

前の話でチラッとだけ登場した人物が次では主役となって意外な一面を見せます

主役と脇役が交代する連作短編形式で味わえる新鮮さの繰り返しが楽しく、人々の暮らしを高いところから俯瞰しているようで面白かったです

視点が変われば、そこに見えているものの持つ意味も変わる

ナルホドね~

気持ちの鬱屈を抱えながら毎日を過ごしている人、人間関係のせいか肩が凝っている人、何が問題かわからないけれど、なんとなく自分の歩む先が不安になっている人

そんな人にお薦めの1冊です

 

初めて平さんを読んだのは多分15年くらい前

奥田英朗さんの伊良部シリーズと平安寿子さんで随分と気持ちが楽になったものでした

ずっと変わらない作風が嬉しく、心の洗濯目的で定期的に読みたい作家さんです