角川文庫

2021年6月 初版発行

解説・辻村深月

517頁

 

横浜にあるミッション系の女子高校に通う野々原茜と牧田はな

庶民的な家庭に育ち、クールで毒舌な野々原茜=のの

外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手な牧田はな=はな

高校時代~大学時代~40歳を過ぎてから、の3期に渡って2人の往復書簡をまとめたものです

 

いつしかはなに友情以上の気持ちを抱いたののは玉砕覚悟で告白をします

秘密の告白は受け入れられ幸せに満ちた時を過ごす2人でしたが、のののある秘密がはなへの裏切りとなり、ののとはなを長く苦めることになるのでした

 

高校時代、大学時代の書簡は自分たちが中心のやり取りです

それがガラリと変わるのが40歳を過ぎてから

ののはフリーライターとして東京で独り暮らし、はなは大学時代に父親の紹介で「お見合い」した外交官の夫についてアフリカ中西部の国で大使夫人として暮らしています

必然、やり取りは手書きの手紙ではなくメール

はなの暮らす国のメール環境が悪くスムーズにやり取り出来なかったり、ののが仕事で長く家を空けたり、返事が来ないことにやきもきしながらも、2人は『通信』を続けます

それらの内容は個人的なものばかりでなく、社会的、国際的な話題にまで及ぶもので読み応えがあり、ののとはなの間にある友情、愛情を超えた『絆』に静かな感動を覚えました

 

さらに年月が流れ…

2人が再会できる日がくると良いなぁ

 

余談

作中に出てくる山岸涼子「日出処の天子」

大・大・大好き!