中公文庫

2018年6月 初版発行

2019年8月 14刷発行

解説・清水良典

334頁

 

第32回(2015年)織田作之助賞受賞

 

東京、杉並の古びた洋館に暮らす四人の女

父の顔も行方も知らない刺繍作家・佐知

気ままな母・鶴代

佐知の友人・雪乃

雪乃の会社の後輩・多恵美

そこに関わってくる男性は

鶴代の祖父の時代から洋館の敷地内の家に暮らす謎めいた老人・山田

多恵美に付きまとうストーカー男

水漏れ事故でダメになってしまった雪乃の部屋の修繕工事にやってきたイケメン業者

そして、開かずの間で埃を被っていた河童のミイラ!

 

中谷美紀さん主演のドラマを観て興味を持ちました

ドラマは原作よりソフトで恋愛に軸足を置いているようです

河童や善福寺川の烏は原作通りの方が面白かったかもしれません

 

ドラマで使われなかったのか聞き逃したのか?

佐知=40歳目前、独身で自宅での仕事を生業とする女性が、父とは何か家庭とは何かを何度も自問自答しておりドラマより中身が濃いと感じました

 

女性が結婚、出産、家庭を築くことが当たり前という考えは古いものとなりつつありますが、なかなか…

この先、何か変化がありそうな気配もありますが、本書に描かれているような四人の女の暮らしも立派な“家庭”といえると思います

 

優しさと慈しみに溢れたラスト5行

フッと口角が上がる程度ですが微笑んで本を閉じました

 

あれから10年が経ち…とかで続編があったら嬉しいです