ご無沙汰しております。森田かずよです。
他のSNSにかまけて、ずいぶん長くこのブログを放置しておりました。。今年に入って初めての投稿。
能豊障害者労働センターの今年のカレンダーに
コメントを書かせていただきました。利用者さんの素敵なイラストもたくさん掲載されています。
こちらから購入可能です。
https://www.tumiki.com/?mode=cate&cbid=293494&csid=0
そのカレンダーに書いた文章が、改めて今読むと(送ったのは昨年6月くらいなので)、意外とよく書けているように思うので、こちらでも紹介させていただきます。

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子どもの頃、小さなピンクのバレエシューズを母親から買ってもらった。確か小学校3年生くらいの時。少女漫画や雑誌の影響を受け、当時の世間一般の女の子がわくわく心ひかれるものに私も同じようにあこがれた。そうは言っても、鏡の前に立ち私の身体を上から下まで眺めてみると、背骨が曲がった女の子が立っていた。憧れを口にすることをためらった。
シューズを履いてみるくらいならいいのでは?そんな気持ちになり、母におねだりをした。私の右脚は曲がらない太くゴツゴツした義足だが、バレエシューズを履かせた。不格好だったかもしれないが、心は大満足だった。
そこから何十年か経ち、私はバレエシューズを週に1,2度レッスンで履く。「踊れない」「踊りたい」と思うことすらためらった私は、今自分のことを「ダンサー」だと名乗っている。
不思議である。
それはなぜだろうか?
それはまず、私自身が自分の身体に慣れてきたからであると思う。周りを見渡すと、二足歩行で、左右対称で<整った>身体を持つ人ばかり。<マイノリティ>の私の身体は、出来ないことばかりのように思えた。
そんな私にとって、ダンスは私の身体を自由にしてくれた。
左右対称でない身体はユニークにとらえられ、歪みのある身体は儚さにも、強さにもなった。義足を外して立てなくても、身体と地面との接触の度合いを変えたり、時に滑るように移動したり。重力も、骨も、筋肉も、皮膚も、今ある肉体全てがダンスになる。
今まで私も知らなかった私の身体の動きが生み出される。
他の誰もが真似できない、そんなダンスを創ることができる。
差異のある身体から、新しい価値観を生み出すことができる。
私はダンスを通して、踊ることで、私の身体を「このままでいい」と思うことができた。
鏡の前で自分の身体を見ることも、恐くなくなった。
今の社会の中で「障害」と規定されるものも含めて、自分の身体であり「森田かずよ」という人間である。そうとらえると、少し生きやすくなったと思える。
ちなみに、私の右手の指は4本で、少し変わった形をしています。特に親指は、人差し指の機能も兼ねていて、アイスクリームの木のスプーンのような形をしていて、その指がとてもお気に入りです。
あなたは自分の身体のどこが好きですか?
あなたは自分の身体を愛していますか?
プロフィール
森田かずよ
先天性の障害(二分脊椎症・先天性奇形・側湾症)を持って生まれ、18歳より表現の世界へ。国内外で活躍する振付家、演出家の作品にダンサー、俳優として出演。東京2020パラリンピック開会式にソロダンサー。NHKドラマ『パーセント』に出演。近年は障害のある人を含めた多様な人とのワークショップやダンス公演の演出を行う。
福祉をたずねるクリエイティブマガジン「こここ」にて「森田かずよのクリエイションノート」連載中。現在、大阪大学人文学研究科博士後期課程在籍中。
「Performance For All People.CONVEY」主宰。NPOピースポット・ワンフォー理事長。