モンスト小説執筆事務局局長室 -8ページ目

モンスト小説執筆事務局局長室

モンストの小説を書いています。
最終的なシナリオは出来ているので、それを文にするだけの単純なこと作業です。








夜。


それは星の煌きが集まる場所。


夜。


それは涙を流す場所。


夜。


それは勇気をもらえる場所。





ボクはまだ眠れずに居た。

虫のさざめき。葉のこすれる音。
ボクはこの時間が大好きだった。
大きな月の下で、小さなボクがこの大きな星の上で体を休めていた。
小さなころから考えていた。この星たちはいつからそこにあるのだろう。
明日も同じ星を見れるのだろうか。あの星はどれだけ手を伸ばせば届くのだろう。

ボクはその小さな手の平で大きな月を捕まえようとした。

ボクはついに月と会話してしまう。
「お前はボクを弱いと思うか?」

その小さな手のひらに隠れた月は何も言わず、ただボクたちの住む星を照らしていた。

なんだか月は、ボクを励ましてくれている気がした。
勿論、そんなことが気のせいであることは分かっている。


「ありがとう。」



ボクはおそらく届いていないだろうこの声を、その月に向かって囁いた。


ああ。ボクはあと何度この月を拝むことができるのだろう。


そんな未来を楽しみにしながらボクはそっと目を閉じて、明日の修行に備えた。










さっきまで鳴いていた虫の声がやんだ。
朝が来たのだ。
朝というのはなぜ静かに来てしまうのだろう。
挨拶もなしにやつらは現れ、何も言わずにまた消えてしまう。


それと同時に。
ついさきほどまで近くにあった師匠の気配も完全に消えた。

いや。


目の前に居た。


刹那。



風の切れる音が頭上から聞こえたのだ。
肌と風が擦れる音。
この音は嫌いだ。何度聞いても聞きなれることはなかった。


完全に目の前まで来たその肌はボクの顔を捉えることに失敗した。
外したのではない。

外れたのだ。
この世界では、ボクの体の方が軽いからだ。

「ふん!」
師匠だ。
この声は紛れもない。幾多の戦場を駆け抜け、幾多もの屍を超えてきた。





目は使えずとも、今まで鍛えた感覚がその危険を察知する。
殺しにかかってきているのだ。

ボクはすばやく受身の態勢に入り、風と同化した。
受け止めようとも思った。
だが、全身の骨が砕けるほど、今日のコブシは強烈なものだった。


その瞬間。ボクは師匠がコブシをふりあげた背後に回りこむ。
スライディング。
違う。
それはスライド。つまり地面と接していないと意味にはならない。
ボクの風を切るそれとは、全く違かった。
まず、足が地面に触れようものなら、それこそ火に油。
師匠は体の回りを地面と足の甲を接しさせながらボクの足を狙う。
ボクは転び、またコブシが振り上げられることだろう。


髪が動きに間に合わず、おでこをなぞり、少しくすぐったかった。
だが、いやな気分ではなかった。
むしろ、心地よいくらいだ。


なおも師匠はコブシを振り下げるモーションの中。
今日は早い。明日からはもっと本気出してよけないと頭が卵のように
「ぴしゃ」と割れるだろう。


地面が割れる音がした。
自分が寝ていた場所が砂煙で見えなくなった。


「ドシン!!」
そのコブシと地面がたたきつけられる音で、ボクは目を覚ました。

ボクは鼻をすすり、髪を整える。
その音が鳴り止み、ボクは今日の第一声を言い放った。


「おはよう、師匠、今日もいいコブシだね!」



師匠はパイプを手に取り、煙を吐いて見せた。
その師匠の顔は、今日も笑っていた。



「いい動きだ。飯にしよう。」
師匠はコブシについた砂を払い、コブシをぼくの目の前に突きつけた。

ボクは無意識にニヤリとして、コブシを師匠の大きなコブシにぶつけた。



これはボクと師匠の挨拶だった。