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ルーナ伯爵のblog

気に入ったことをごくたまにアップします




こちらにUPしていない7~8月に顔を出した幾つかの感想を備忘録がわりに書きます。

7月後半に札幌でPMFオーケストラのリハーサルと本公演を美しい札幌コンサートホールkitaraで楽しみました。
指揮はマゼールがキャンセルしてジョン・ネルソン。曲目はベートーヴェンの7番とシベリウスの2番。おおらかに鳴らして楽しい演奏でしたが、この賑やかな二曲の根底に流れる芯の強さとも言うべき厳格さは些か不足していたように感じました。

帰京後の8月最初はフェスタサマーミューザに登場した東京フィルを、たまにしか振りに来ない常任指揮者ダン・エッティンガーが珍しくマーラーの5番を演奏するというので期待して行ってみました。

が、大ハズレでした。

オーケストラは艶のない雑な響きを音量の大小で表すに留まり、指揮者の創意工夫も全く感じられませんでした。ミューザ川崎のシャープなホールトーンは豊麗なサントリーより時に残酷でした。


更にハズレだったのがPMFの東京公演でした。指揮は佐渡裕。20型以上に肥大化したお祭りのオーケストラにはショスタコーヴィチがこの第5交響曲に失敗したら粛清されるかもしれないという不安感や裏返しの皮肉、またはブチ切れた狂気などに向き合う気などなく、おめでたい勝利の行進を皆で文字通りお祭り騒ぎしながらブッ放しましたというものでした。

そんななか、最も音楽も演技も舞踊も総合的に高い次元で凝縮した公演となっていたのがセルリアンタワー能楽堂の「オセロー&オテロ」でした。ヴェルディとシェイクスピアを二部構成で演出は森優貴さん(ドイツ・レーゲンスブルク劇場芸術監督)!オセローを踊るのは森優貴さんご自身、デズデモーナには酒井はなさん、ヴェルディのオペラ、オテロをテノールの水口聡さん、デズデモーナをソプラノの市原愛さんが演じるという趣向。
さらにこの作品の鍵をにぎるイヤーゴを能楽師・津村禮次郎さんが全編を通じて演じています。

美しい「和」の世界、能楽堂。先ず津村さんが「オセロー」からイヤーゴの独白を抜粋して朗読するところから始まります。
次にヴェルディの「オテロ」。水口さんの豪胆なオテロ歌唱は能楽堂の屏風や襖を壊す迫力、市原さんの細く美しいスタイルと清楚な歌唱は悲運を静かに漂わせました。
後半は森さんと酒井さん、そして津村さんを交えて舞踊の「オセロー」。何と素晴らしい舞踊なのでしょう!
オセローとデズデモナとの美しい重なり、イヤーゴの奸計、嫉妬の毒、何枚も繰り出される黒いハンカチ、そして死。また、使用されたショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番が驚異的なマッチングをみせていて、お盆前に素敵な夜になりました。


そして最後は日伊コンコルソ入賞記念
イタリアオペラ名曲アリアコンサート。
前半は入賞者の日本人男子3名、中でもテノールの笛田博昭さんの日本人離れした体格から繰り出される豪快な重高音は欧米の歌劇場でも直ぐに引く手数多になるでしょう。
後半はボエームとバタフライのアリアと二重唱をゲスト歌手のカルメン・ジャンナッタージオとマッシミリアーノ・ピサピアの二人が歌いました。

飛び切り素晴らしいというほどではありませんが前半の日本人3人と明らかに違うのは曲が始まった瞬間に“イタリアオペラ”になるというところです。

ジャンナッタージオはこれから更にメジャーになっていくソプラノだと思います。

今日はプッチーニだけでしたが、そつなくむらなく歌う感じでイタリアのリリコらしい刺々しさのない滑らかに響き。とは言え、リッチャレッリほどソフトフォーカスではなく、フリットリほど中音域の豊麗さもなく、フレーニのような高音の直線的な響きもないので一声で記憶に残る個性は無いのですが(笑)。

ピサピアは最高音のffだけで勝負する典型的な古いタイプのイタリアンテノール。それはそれで楽しい。しかしそういう時に顔が紅潮するタイプの歌手ってラ・スコーラみたいに早死にすると思うので健康に気をつけてほしいものです。


さてさて来週は8月最終週。夏休み最後に楽しいステージはあるかな?




昔はバックミラー、今ではバックモニター。

その小さな画面に映るマエストロ、そして62のストップを駆使して石丸由佳さんがパイプオルガン“ルーシー(愛称)”の豊かな響きをホールいっぱいに充たしてくれました。

フランス国立リヨン管弦楽団演奏会。

横浜みなとみらいホールは開演の予備ベルとして中華街よろしく銅鑼がグワ~ンと鳴ります。私が知るなかでは予備ベルが銅鑼なのは他に北イタリアのアレーナ・ディ・ヴェローナぐらいかと思います。

ヴェローナでは本物の銅鑼が打ち鳴らされますが、みなとみらいホールのロビーで聞こえるのは録音テープです。でも、この日はラヴェルのマ・メール・ロアが演奏されましたので、ホールの中では本物の銅鑼が鳴りました(微笑)。

演奏はこの曲の一般的なイメージより少したっぷりとしたサウンドで美しいハーモニー。コントラファゴットの音が何ともフランス風で素敵でした。

続くラロのスペイン交響曲は五嶋龍のバイオリン独奏。冒頭からちょっとスペイン風というより演歌調でクサイ感じでした(笑)。一方、オーケストラはハープと木管が主役を引き立てる名脇役ぶりを発揮して素晴らしい演奏でした。

そして休憩後はサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付」。
座席がオルガンから1列目、つまりPブロック最後列でしたので、第1部後半(2楽章)のppの超重低音では毛穴が開いたり髪の毛が逆立ったりし、第2部後半(4楽章)での強烈な咆哮は腹膜も心臓も震動してバクバクしました。
この曲を聴く時はオルガンに近い位置で聴くのが好きです。

オーケストラは指揮者の解釈なのか悠然たる演奏で刺々しさは少なく落ち着いたサウンドを響かせていましたが逆に音色や光沢の変化、しっとりした質感や乾いた弾ける音も少ないものでした。

アンコールはスラットキンに手拍子を促されて「天国と地獄からカンカン(笑)


パイプオルガンの仕組み:ヤマハのサイト(参考:
http://www2.yamaha.co.jp/u/naruhodo/21pipeorgan/pipeorgan1.html

(参考)
http://www1.t-cn.gr.jp/organ3.html

(石丸由佳さん)
http://yukaishimaru.pecori.jp/press.html
(みなとみらいホール)
http://www.yaf.or.jp/mmh/about/pipe.php

(サン=サーンス交響曲第3番「オルガン付」から)
http://www.youtube.com/watch?v=M68gT9XQMEw&sns=em



9/14(日曜深夜=9/15)放映です。是非お楽しみ下さい!

リヨン歌劇場来日公演

オッフェンバック歌劇「ホフマン物語」

演出:ロラン・ペリー
指揮:大野和士
出演:ジョン・オズボーン(T)、パトリツィア・チョーフィ(S)、ロラン・アルバロ(B)ほか


大野さんがリヨンの全員を連れて来日したこの引越公演は視覚聴覚以上のオペラの愉しさと感銘を与えてくれました。

取り留めが無くて冗長な作品と思われたりするかもしれませんが、念入りに研究され、周到な準備が為されていれば、かくも素晴らしいオペラ公演へと昇華するのかということを実感させてくれました。


歌唱・演技、合唱団、ピットのオーケストラは驚異的という訳ではありませんでしたが、作品・台本・演出とマッチして相乗効果を随所で感じる高い水準でした。


次から次へと繰り出される舞台の仕掛け、そして歌手やオーケストラを纏める大野和士の指揮。

オペラファンでなくとも楽しめる公演に仕上げられていますので9月の放映で観賞されることをお勧めします。


オペラって本当に良いものですね!


http://opera-lyon.jp/story/



http://ebravo.jp/archives/11158