やさしい心理学とその実践的応用(マーケティング・一般)No23:態度No7 | 消費者心理学とマーケティング - 消費者心理学・消費者行動論の研究より -

やさしい心理学とその実践的応用(マーケティング・一般)No23:態度No7

やさしい心理学とその実践的応用(マーケティング・一般)No23:態度No

今回は態度:Attitudesの第7回目です。態度と実際の行動の相関関係①を取り上げます。態度によって実際の行動を予測することは可能でしょうか?

1.古典的研究

古典的研究においては態度と実際の行動の相関関係はあまり高くないとされました(Bohner, 2001)。

1930年代のアメリカ(アジア人に対する偏見が今よりも激しい時代)でLapiereは若い中国人のカップルと一緒に旅行をしてホテルで宿泊を断られたことはなかった(251箇所中1箇所のみ)にも関わらず、6ヵ月後の調査で中国人に宿泊をさせるかを尋ねたところ92%のホテルで宿泊を拒否すると答えました(Lapiere, 1934, sited in Bohner, 2001)。

2.態度と行動の不一致の原因

不一致の原因の一つとして、両者の測定が一致していないことが挙げられます(Bohner, 2001)。つまり宗教一般の態度の測定から次週に特定の宗教的催しに参加するか否かと言う特定の行動は正確には予想できないということです(Ajzen & Fishbein, 1977, Bohner, 2001)。

3.一致原則(Correspondence principle

態度と行動の相関関係は具体的な態度を調査してそれに一致した具体的な行動を予測するケースに高まると考えられます(Ajzen & Fishbein, 1977, Bohner, 2001)。先の中国人のカップルの件も中国人一般に対する態度ではなく、白人に伴われた中国人のカップルとして態度測定を行えば、実際の行動と一致する結果が得られたかもしれません。

4.集団の原則(Aggregation principle

態度と行動の相関関係は一般的な態度を調査してそれに一致した一般的な行動を予測するケースに高まると考えられます(Weigel & Newman, 1976, Bohner, 2001)。

《応用》 いくつか質問をしますので皆さんも考えて下さい!!

(1)消費者行動に関する文献(本など)の消費者の態度に関する記述を基にマーケティング戦略を打ちましたが想定通りの行動を消費者はしませんでした。なぜだと思いますか?

過去の調査結果はあくまでも仮説を構築するため用のものと考えるべきです。一般的な態度の記述は個別企業のそれぞれの状況には対応しません。必要なことは理論を基に仮説を立てたらより実証のリサーチ(個別の実情に適合したアンケート調査・テストマーケティングなど)を実施することです。


(2)なぜ態度と実行が一致しないのですか?

今回取り上げた内容以外に考えられるのが、(a態度にはそれぞれ強弱があるということ、(b態度以外にも行動に影響を与える要因があること、(c正直に回答者が態度を表明するかは分からないことなどが挙げられます。(a)に関しては次回取り上げます。(b)に関してはその次に取り上げます。(c)に関してですが以前取り上げたように アンケート回答者が正直に自分の態度を表明したくないケース(例、人種問題・偏見などに絡む態度)や本当の態度が自分にも明確になっていないケースがあります。そのような暗黙な(implicit)な態度の測定には特別な方法が心理学では用いられることが多いです(例、IAT、プライミング)。

《お願い》

皆さんの実例があると、わかりやすく内容も発展しますので、皆さんの実例やコメントをどんどんお待ちしています!!下記コメント欄からお気軽に書き込んでください。

参考文献

Bohner,G. (2001). Attitudes, in Introduction to social psychology: A European Perspective Third edition, (ed) Hewstone,M. & Stroebe,W. Oxford, Blackwell Publishing.