やさしい心理学とその実践的応用(マーケティング・一般)No23:態度No6 | 消費者心理学とマーケティング - 消費者心理学・消費者行動論の研究より -

やさしい心理学とその実践的応用(マーケティング・一般)No23:態度No6

やさしい心理学とその実践的応用(マーケティング・一般)No23:態度No

今回は態度:Attitudesの第6回目です。態度と情報処理の関係を取り上げます。人間は態度に適合する情報を知覚・記憶・思い出しやすい傾向があります。

1.態度による選別(Attitudinal selectivity

(1)概念

人間は自分の態度に適合する情報を情報処理関連記事はこちら しやすい傾向があります。つまり、自分の態度に適合する情報を知覚・記憶・思い出しやすい等の傾向がありますBohner, 2001)。

(2)選択的露出(Selective exposure

人間は自分の態度に適合する情報を選択的に探索する傾向があります。一方、自分の態度に対立する情報に関しては探索することを避ける傾向がありますBohner, 2001)。例えば、サッカーの日本代表を熱狂的に応援している人は日本代表に肯定的な記事に関しては必死に読むが、否定的な記事に関しては無視して読まないことが挙げられます。

(3)選択的知覚・判断(Selective perception and judgement

実際の日常生活では上記のように気に入らない情報を避け続けることはできません。そこで強制的に態度に適合・適合しない情報を与えられた人間は、適合する情報に関してはより正確に、適合しない情報に関しては歪曲して知覚する傾向があります(Festinger, 1957, sited in Bohner, 2001)。つまり日本代表のファンは、日本代表に肯定的な記事は詳細にそのまま知覚しますが、否定的な記事に関しては自分の都合の良い方に解釈して知覚・理解する傾向にあります。

(4)選択的記憶(Selective elaboration and memory

想起(recall:思い出すこと)は態度によって選択な傾向があります(Bartlett, 1995, sited in Bohner, 2001)。ただし最近の研究によると、この効果はそれ程大きくなく、態度に対立する情報の方が肯定的な情報よりも思い出されやすいようです(Cacioppo & Petty, 1979, sited in Bohner, 2001)。

《応用》 いくつか質問をしますので皆さんも考えて下さい!!

(1)私の夫はヘビースモーカーでタバコをいつまでも止めません。止めるように言うと「タバコを吸い続けても長い生きする人はいる」など都合の良い理屈をつけます。なぜ?

選択的露出もしくは選択的知覚・判断による影響によって都合の良い情報タバコを吸い続けても長い生きする人はいる)だけを選択的に読んだり、知覚しているのでしょう。



(2)なぜマーケターにとって消費者の態度を理解することや広告などに態度を変容させることが重要なのですか?

自社商品・サービスに肯定的な態度を持つ消費者は様々な情報処理の段階(知覚・記憶・想起など)で自社(ブランド)に都合よく情報を処理してくれるからです。

《お願い》

皆さんの実例があると、わかりやすく内容も発展しますので、皆さんの実例やコメントをどんどんお待ちしています!!下記コメント欄からお気軽に書き込んでください。

参考文献

Bohner,G. (2001). Attitudes, in Introduction to social psychology: A European Perspective Third edition, (ed) Hewstone,M. & Stroebe,W. Oxford, Blackwell Publishing.