平成元年に転職した会社について感想を述べていますが、今日は平成の最終日であるというので感慨もひとしおと行きたいのですが、余り良い印象とは言えないような内容になりそうです。
「5)システムエンジニアの能力が低く、向上が図られない」という課題について、前回は会社の立ち位置という観点から感想を書いてみましたが、振り返ると会社の成り立ちにも原因があるのではないかと思いつきました。転職した会社は異業種への新規参入というので私も助太刀として入社したのですが、その新規事業部門にも技術社員が配属されていました。
しかしながら、社内異動の技術社員は情報処理を専門とするには情報処理技術レベルが低すぎたと感じていましたが、事業を推進する役員は全くそういう理解は出来なくて、技術職だから新規事業であろうといえども対応可能だろうという安易な発想しか出来なかったのが、現在まで技術レベルの低さが継続されている原因のように思えました。
転職する前の会社は毎年赤字の事業部で、業界でも最下位という惨憺たる環境で仕事をしていましたが、社内の技術陣は自前でOSとかDBやネットワークシステムを開発することが出来ていました。パッケージソフトの少ない時代でしたが、顧客の要求に合わせてシステムを構築できるだけの技術力を持った情報処理エンジニアがいたと思います。そういう事実を思い出すと、情報処理会社のシステムエンジニアというのは置かれている環境によっても技術力の差が現れるという気がしました。そうなってくると技術社員に求められるのは、情報処理の基礎的な技術能力も必要と思われますし、開発出来る職場環境も必要と思われるので、システム開発の苦難の歴史を積み重ねるという事も必要だと感じています。
27年間勤務した会社では、役員が自社の情報処理業界における理念とか将来像というものを描けないので、眼前の売上とか利益の誰でも思いつくような凡人の様な仕事しか出来なくて、自社の置かれているのは情報処理業界であるという意識が希薄なので、情報処理の技術力の向上とは何であるかも理解できない事も、技術職社員の技術レベルが低いままに放置されていた一因かと感じていました。役員の関心は技術レベルよりも眼前の事案に火でもついていないかという問題であり、そういう火種は技術レベルの低さに起因しているとは思いついてもいないとも見えていました。
 
何度も取り上げた役所体質の顧客の基幹システム更改のプロジェクトで、担当する事業部のシステムエンジニアが提案した5つの機能が当初提案金額では出来ないので1つのシステムを減らすことを顧客に要請して、兎に角プロジェクトを始めた以上後に引けない顧客の担当部署は不承不承ながら了解したという経緯がありました。
これは担当した事業部の技術レベルの低さを象徴するような事件で、当該の1つのシステムは経験した事がないソフトウエアを扱うから難しそうだと考えたという背景があったと推測していまた。経験が無いソフトウエアがあったとしても、少しばかりの時間をかけてソフトウエアの特徴を調査把握して、作業の取り組み方法を立案できるくらいに準備して進めるのが通常のシステムエンジニアの姿勢だと思いますが、そういう事さえも出来ない技術レベルの低い事業部が、システム開発などという高度な業務をこなせるはずもない、というのを社内の役員以下社員全員が理解出来ていなかったと思います。ここに情報処理に対する会社としてのリテラシーレベルが象徴されているともいえるのかと感じていました。
役所体質の顧客の基幹システム更改のプロジェクトでは、5つの機能が開発出来なくて4つの機能に減らすのであれば、当然ながら費用も20%削減される筈だというのが常識だと思いますが、費用は変わりませんと顧客に迫ったのも担当事業部の技術レベルの低さを証明していたような事実として残ったと感じていました。