役所体質の顧客の新基幹システム開発に関わった者としての感想は大体書き終えたのかなと思いますが、こうした事件の構図というものを考えると、サラリーマンとしての基本的な態度・能力(くびき)に問題があるのではないかと思いました。たまたま私は2社のサラリーマン勤務を経験して会社の体質の違いというものは大きいというのを感じていましたが、私が勤務した2社とも保守的という環境は同じでしたが社員を育てるという環境は大きく違いました。
基本は自ら学ぶという意思がない人には、どこの会社でも同じ環境であるかのようにしか感じられないと想像は出来ますが、私が転職した会社は特に自ら学ぶという意思の薄弱な人が多くて、何かあればお助けを頼めばよいという風に考えている社員や役員が多いように思いました。そういう風土なので、会社の業績を伸ばすにも経験者を安易に中途採用すればよいという思想が芽生えてくるのだと思います。そのような背景があり、口先だけが上手い外資系の会社から社員が多数転職しているのが分かりましたが、私の見立てでは殆どが並以下の能力の持ち主で口八丁手八丁で如何にも仕事をしている素振りをしているとしか思えませんでした。そうなると、会社の中は自然と事なかれ主義とか場当たり的な対応が多くなり、会社として顧客向けの情報システム構築をすることを生業としていると標榜しながらも、その実は社内事情優先の態度で仕事をするような姿勢になるのはごく当然の成り行きだったと思います。外資系会社からの転職者だけでなく、元々能力がある筈と想像されて入社した筈のプロパー社員も学習意欲が低いので、知識が貧弱だけでなく社内の事なかれ主義にすっかり染まって金太郎飴のような社員がうろうろしているばかりの職場と感じていました。
 
普通の社会常識が通りにくい社内環境なのを理解した上で、私は社内のマイナスイメージを覆い隠すために自らが全てを仕切って顧客に対応する方針で臨み、出来るだけ社内の幹部を顧客の前には行かせないようにして顧客に対してマイナスイメージを与えないようにという努力をしていました。
しかしながら、この役所体質の顧客の情報システム開発プロジェクトは、会社の普通常識が通用しない体質の中に取り込まれて実行されたということが色々な事件や問題を引き起こし、私の個人的な力ではどうしようなく対応が出来なかったという結果であったと思っています。
システムの提案から受注に至る段階でも、すでにシステム開発を受託した事業部の連中の対応は変だと感じていましたが、一旦動き出したら流れに乗るしかないのかと思いつつ諦めざるを得ないのかとも思っていました。そういう少々変な状態でも、曲がりなりにしても何とか計画通りに情報システム開発が出来ることを想像していましたが、以前のブログで紹介した通りのこのシステム開発プロジェクトは非常に残念な結末に至り、私のサラリーマン最後の仕事としては非常に不満足な結末で失望をするという事になったわけです。

このプロジェクトの問題は基本的にはシステム開発を受託した事業部の考えられない程の低能力にあったのですが、プロジェクト進行中に色々な問題(システム範囲の縮小、工期の延長等々)があったにも関わらず、役員以下管理職が誰一人として問題を指摘・改善・指導ができなかったのは、役員や管理職が単にシステム開発の経験が少ないというレベルの問題ではなく、そもそも役員とかの管理職の役職に対応できるだけの能力が無いというのを露呈した事であったとも思います。
何か問題が発生した時に、契約先である顧客から指摘される前に自ら問題を感知して対応策を練るなどというのは、何もシステム開発プロジェクトに限らず、サラリーマンが仕事をするうえで基本中の基本であり、このプロジェクトでは最後の最後までそういう事が行われなかったのは、会社としての暗黒面が露出したという事であったとも思えました。
問題は、そういう非常に根深い問題を含んだシステム開発プロジェクトというのを認識できずにプロジェクトメンバーを大きな利益が上がったというので表彰した後に、顧客から「騙された」という評が出ても、顧客に対して真摯に向き合おうともせず、何事も無かったかのようにふるまうシステム開発を受託した事業部や関係する役員や管理職の姿勢には大きな疑問を持たざるを得ないという感想を持ちました。