5月に本番が開始されても少なからず障害が発生し、情報システム部員の中には障害対応の仕事が出来てドタバタしているのが嬉しいと思えるような素振りのある人もいました。
そもそも本番後に障害が発生しないために、システム開発期間中に時間をかけてテストと称する作業をしてきたはずなのに、テスト期間が無駄に思える程に何で障害が発生するのかというのが不思議でした。障害というものに人為的なもの又は予測不能なものがあるとすれば、このシステム開発で発生した障害は全て人為的なもので、原因はシステム開発を受託した事業部が契約した内容の仕事をしなかった為と言い切ることができると思います。
本番開始後、5月の中旬位に、支店で事務担当の女性がデータを打ち込んだらゼロになってしまうという連絡があり、当初は情報システム部員は操作が間違っているのではないかと言っていました。その現象が確信的になってくると情報システム部員の端末で現象を再現することができて「ものすごい発見だ」と意気揚々と大声を出して賛辞をいう人もいました。当然ながら直ぐにシステム開発を受託した事業部には連絡したものの返事は直ぐには来ませんでした。
本番開始の5月にはそういう現象が情報視システム部内で認識されていて対応に困惑していましたが、システム開発を受託した事業部からは数か月も無しのつぶて状態が続いたのでした。
8月に入りシステム開発を受託した事業部から「アプリケーション開発言語のバージョンには不具合があることが判りました」という説明がありました。一定以上の大きな桁数を入力するとゼロになってしまうという不具合という説明でした。
システム開発を受託した事業部では「開発言語のバージョンは実績のあるもので実行しようとして最新バージョンを使用しませんでした」とか「お宅でそんな大きな桁数の数字を扱うとは思っていませんでした」というとんでもない回答が来たので私は驚きましたが、情報システム部員は障害内容の仕組みなどよりも早く対応してほしいという気持ちが強かったせいか驚きというものはなかったように見えました。
システム開発を受託した事業部が実績にあるプログラム言語のバージョンを利用したという意味は、最新のバージョンを評価するという能力がないのでそういう方法を採用しただけの事なので、そもそも基幹システムといわれるような重要なシステム開発は能力的に出来なないという事を自ら語ったという事だと思います。
同時に、顧客にはそんな大きな桁数の数字があるとは知らなかったという言い訳は、3年間も掛けてデータ移行という作業をしていて数字の桁数を調べなかったという事と同義なので、データ移行に掛けた3年の費用は不要でしたと自ら述べているとも思えました。
データ移行に関しては、本番前に移行先のデータベースが出来て居なくて移行テストが出来なかったという不始末もあり、この障害の原因説明の時はそんな事があったのも忘れたように堂々と言い訳を言ったのには驚きの他の言葉を持たなという表現の方が適切と感じた位でした。
システム開発で製造した1000本のプログラムは古いバージョンで書かれていて、たまたま入力数字がゼロにクリアされるという現象が出たのですが、将来は古いバージョンを利用しているが故に障害が出る可能性もあるのではないかと推測しています。システム開発では、不具合を防ぐために常に最新バージョンを利用するのが原則なのですが、そういう原則を守らなかったゆえに発生した障害と思いました。
これほどの重大障害を発生させても、システム開発を受託した事業部の事業部長や役員は説明とか謝罪には現れませんでした。障害内容と対策の説明に来たのは、システム開発を受託した事業部のプロジェクトマネージャーと後見人の統括プロジェクトマネージャーに担当のシステムエンジニアだけでしたので、システム開発を受託した事業部は、障害がそれほど大したものではないと思っていたのではないかと推測され、且つ顧客をそれほど重要な顧客ではないと見立てていた事が立証されるようなことになったと思いました。それは顧客側の波風を立てたくなという社風もあって、怒るという行動がなかったのも一因とは思いましたが、システム開発を受託した事業部に見識というものが無かったという側面もあったのかと思いました。
この事件が発生した時、私は「万事休す」という言葉が浮かびましたが、このシステム開発を受託した事業部は「よくある事です」という態度で言い訳を言い、発注者である情報システム部員は「仕方ない」と思い、何時の間にか風化していくのだろうと感じました。