5月連休明けの本番が近づくと、情報システムのプロジェクトマネージャーが気になったのは儀式らしいと思えました。このプロジェクトマネージャーは、新しいシステムの検証は情報システム部員が毎日パソコンのキーを叩いて現場で行う疑似的な操作して確認していて、大きな問題はなく操作できているのでよかろうと思ったのだろうと推測しています。
3年かけたシステム開発の完了を社内にテープカットでお披露目をするというのは、長い情報システム関連業界に関わった私は初めて聞きました。システム開発の規模が大きいとか小さいとかに関わらず、情報システム部員は出来上がった新しいシステムが現場で障害なく利用してクレームが上がってこないのを祈るばかりの場面だと思ったのですが、そういう事には案外無頓着で、情報システム部とかプロジェクトとかの体面ばかりが気になっているのは社風がさせる業なのかとも思ったのでした。
お披露目式は、情報システム部員が少々不信感も持つようになっていたシステム開発を受託した事業部の役員とか事業部長を呼んで、社長以下役員の居並ぶところでテープカットというセレモニーが行われたのでした。その後、システム開発を受託した事業部の関係者全員や情報システム部員が一堂に顧客の食堂に集まって、慰労会に思える飲み会があったのですが、私はそういう気分には全くなれなかったので、ウーロン茶を少し飲んですぐに執務席に帰りました。
こういう体裁づくろいには気遣いが出来るのならば、同じ気遣いを新しいシステム開発の中でもして欲しかったというのが私の感想でした。それには知識とか経験があった方がよりベターなのは当然ですが、どうしたらシステムが問題なく現場で利用してもらえるのかという対策について考えるという事をして欲しかったと思っていました。普段からそういう仕事の仕方をしていないというのもあったかもしれませんが、このシステム開発に心を入れるという意味では物足りないという印象を持ち、ある意味では形は出来たのですが情報システム部員の心意気はどの程度込められたのかというのは少々弱いのかなと思っています。
 
このシステム開発では常套句になってしまった案の定という言葉が出る事が本番開始後に起きたのでした。この新しいシステムでは以前のシステムでもサービスをしていた、インターネットを利用した得意先が情報登録するという業務があり、そのシステムはプロジェクト開始直後にシステム開発を受託した事業部から著作権があるので同じ画面は製造できないと主張して紛糾したシステムでした。
本番開始直後、得意先がインターネットに接続できないというクレームがあり、色々調べてみると、本来障害として検知しなくてはならいシステムや設定がずっぽりと抜け落ちていたのでした。
システム開発を受託した事業部では色々なテストを半年以上行い問題無しという報告をプロジェクト会議でしていたにも関わらず、システムが利用できないし障害も検知できなかったという無残な結果が本番直後に発生したのでした。
インターネット接続の本番テストは情報システム部員も何かそれらしきことをやっていたというのは私も見てはいますが、それが不満足なものであったという結果に終わったので、情報システム部員としても大きな声が出せなかったのかとは推測していますが、それは本質的ではないのでもっと声高にシステム開発を受託した事業部を糾弾してもよかったのではないかと感じました。システム開発を受託した事業部の対応は作業して終了で、役員や事業部長の謝罪とか説明とかはなかったようでした。

この時の障害原因を考えると、システム開発を受託した事業部では契約上なすべき仕事をしていなかった事が明白になったということだと思います。世間相場の2倍の費用をかけ、開発期間がだらだらと半年も延長されたばかりか、最後にはちゃんとした物が納入出来ていませんでしたというのが、このシステム開発の結末ということかと思いました。