このシステム開発プロジェクトではテストフェーズに入ると、システム開発を請負った事業部が行ってきた仕事の質が如何にひどい状態であるかを思い知らされることになるのでした。
先回はサーバー基盤と言われるOSとかミドルウエアのソフトウエア導入はされたものの果たしてどこまできちんとテストされたか不明であるという事を紹介しました。この時、関連することで非常に重要な事を思い出したので少し順序は違いますが書くことにしました。
プログラムが4月には出来上がって、内結・外結テストとかシステムテストとか6カ月もテストした後には、いよいよ受入テストという本番データでテストをするという事になりました。
その受入テストでは情報システム部員が機能ごとに担当者が数字を入力しては計算結果に間違いないかということや、画面の遷移が仕様通りにできているかを確認して、本番に入れるかどうかを確認するものでした。計画では2か月程度で終わる予定でしたが、多数の障害が発生して本番移行・教育という後の3か月もこの受入テストが並行して行われることになったのでした。
アプリケーションの受入テストは業務ごとに情報システム部の担当者に分担分けされていました。見ていた限りでは担当者によってテストの密度が違うように思えました。
この受入テストをしていた時、ある業務で処理が出来ないということがあって、情報システム部の担当者からシステム開発を受託した事業部のシステムエンジニアに問い合わせると「プログラムに計算式が組み込まれていません」と正直な答えが返ってきたのでした。多分、情報システム部の担当者から直接問い合わせをしたので何の考えも無く返事をしたのだろうと思いました。
当然ながら情報システム部の担当者は「直ぐに修正してください」と言ったと思いますが、この件がそれ以上に炎上することはありませんでした。発注者たる情報システム部は理由の如何を問わず本番に向けてシステムが動くことにしか目が行っていないので、それがどういう意味を持つものか等とは考えもしなかったと思いました。
私はこの件を聞いた時に、これがプロジェクトの象徴すべき事件だなと思うと同時に、忙しそうにしている情報システム部員の中で一人だけ怒り心頭の状態にあったのでした。
プロジェクトを開始してはや2年も経過して、いよいよ本番かと思って実際の業務用データを入力したらプログラムが出来ていなくて処理が出来なかったという、事態というか事件と言った方がいいかも知れないと思いました。
本番前の実データテストで機能が出来ていないという事が発覚したのは、仕様書には書いてあったのにプログラムを製造する時に忘れていたとしか思えないもので、半年以上も何とかテストをしたという報告を散々にしていたのを、システム開発を受託した事業部のプロジェクトマネージャーから毎週聞いていたのですが、その報告の信頼性を瓦解させるよう事だった思いました。
こういう事件が起きても情報システム部員は怒るわけでもなく淡々と仕事をしていたのは、自分の担当した仕事が完成できればよしとする思考しかなかったのかとも見えました。情報システム部員のシステム開発の不慣れや知識のないのをいいことに、システム開発を受託した事業部はシステム開発プロジェクトを適当にあしらい、最後のテストも手抜きだらけで、顧客から金だけ巻き上げたというような一断面が見えた時とも思えました。
週次のプロジェクト会議では、システム開発を受託した事業部のプロジェクトマネージャーは「修正しときました」の一言で終わり、情報システム部のプロジェクトマネージャーからも何の異議も出ませんでした。