システム開発のプロジェクト会議は週次で行われていて、色々な資料が提出されたので、そういう資料とプロジェクトの進捗との関連もチェックするのが、私が派遣社員として仕事を始めた時から終わるまで継続的にしていた仕事の一つでした。
私は4月から派遣社員として情報システム部に在籍していたのですが、6月から中国で製造したプログラムを6000ものパターンでテストをするというスケジュールになっていました。情報システム部員は6000という数字を聞いてたくさんテストをするので安心感があるというような印象を持っていたらしく深く質問をすることはありませんでした。同時に何を質問したらよいかもわからなかったかも知れませんでした。このテストもテストの仕様書はあったのか無かったのか分かりませんが、毎週数字で説明されるだけで、一体全体何がテストされて何が問題だったのかというのは何も報告されなかったので、報告を聞く受け身の情報システム部員は沈黙しているしかなかったのでした。

そんな時、実際にプログラムを動かすためのハードウエアのサーバーが導入されていて、色々な準備がされていました。当然ながらコンピュータという機会の性格上、サーバーというハードウエアだけではなく、システム開発したプログラムを動かすための諸々のミドルウエアと呼ばれる基盤ソフトウエア製品の導入も行われていました。
プログラムを動かすためのハードウエアの導入や関連する基盤と呼ばれるソフトウエア群の導入からテストまでは、毎度の報告通りに順調に進んでいますという報告が、システム開発を受託した事業部のプロジェクトマネージャーからされたのでした。
そういう製品群のテストも終わりいよいよ検収という段階になって、私がそういう基盤ソフトウエアと呼ばれる製品群のテスト仕様書や報告書が無い事に気づいて情報システム部員に報告しました。週次の会議で事実を指摘されると、システム開発を受託した事業部のプロジェクトマネージャーは「ええ、それじゃ準備させます」と言って終わりでした。余りに簡単に受け流されてびっくりしたのでした。

基盤ソフトウエア群にはアプリケーションソフトと密接に連携しているものもあり、それらはシステム開発を受託した事業部のシステムエンジニアの担当でした。この基盤ソフトウエアを担当していたシステムエンジニアが提示したテスト仕様書や結果を私がいちいち査読すると、仕様書の間違いとか、テストの方法がおかしいのではないかという事に気づいて質問状を作成して提示したら、修正した仕様書とテスト結果を再提示してきたというようなことがありました。えらく急いで資料を作成したのが分かる程に完成度が低いものもありました。
そういう状況を見ると、元々テスト仕様書や結果報告書を出すつもりはなくて、私が指摘してから製作にとりかかったとしか思えないような状況でした。こんなことをしなければ、工数がかからずに儲かっいたのに変な事に気づいて大迷惑だわと、システム開発を受託した事業部の連中はそう思っていたに違いないと思いました。
そういう状況でも人の好い発注者の情報システム部のプロジェクトマネージャーは何のクレームを言うわけでもないので、システム開発を受託した事業部のプロジェクトマネージャーはまるで大船に乗っているような余裕綽々とした感じでした。
 
こういう事態を見ていると、そもそも基盤ソフトウエアと呼ばれるソフトウエアのテストを本当にしていたのかと疑問に思えて、基盤ソフトのテストをした担当者に質問すると「ええ、データセンターには行っていました」という答えが返ってきただけでした。製品の導入とテスト作業は外注のシステムエンジニアとしていたらしいとは分かったものの、きちちんとしたテストが行われたかどうかは甚だ疑わしいという印象を持ちました。
基盤系のシステムやソフトウエアのテストする前に仕様書を確認し、基盤ソフトのテストも情報システム部員が同席して確認するようなことが必要だったのではないかと思いました。当然ながら、情報システム部員にはそういう発想法は出るわけもなく、作業は全てお願いしますということなので報告を受け身で聞くしかなかったのでした。何もかもお願いするのはいいとしても、相手がどういう風に仕事をしているのかさえも理解していなかったのが問題で、波風を立てたくないという雰囲気の中でいちゃもんを付け始めた私の存在は情報システム部のプロジェクトマネ^ジャーから見ると煙たく思えたのではないかと感じていました。
しかし、時すでに遅く、プログラムは出来てしまっているし、あとはちゃんと動かくどうかの確認というテストの段階だったので、私一人がわめいても限界があると思いました。
 
このフェーズに到達する前には、プログラムの製造についてばかりに気が行っていましたが、そういう製品を動かす基盤システムと呼ばれる部分について少し注意をするという事が不足していたと思いました。しかし、それはシステム開発を受託した事業部が発注者たる顧客の情報システム部員に情報を出さずに、作業だけはしていたらしいというような状況になっていたからでした。プログラム開発同様にプログラムを動かす基盤ソフトウエアの導入やテストについてもプログラム開発同様に、自分たちに都合の良い情報しか出さないという姿勢であったと思いました。
こういう仕事の進め方が本番以降のシステムの障害とどう関連しているかは不明ですが、何か起きた時にはシステム開発途上で行われた、知らない間に行われたり行われなかった作業が原因という事もあるのだろうとは想定がつくと思います。