システム開発の基本設計フェーズの事件はサラリーマンという職業の裏側をも浮かび上がらせたのでした。システム開発を受託した事業部の事業部長やプロジェクトマネージャーは、相手の立場や事情を鑑みるというような器量は全く無く、ひたすら自分が損をしない、儲けをいかに増やすかだけを考える単純な連中であったかを自らの行動で如実に示したのでした。勿論、システム開発の出来栄えなどは眼中になく、物さえできれば万々歳というレベルの持ち主であったと思います、それが本番後の障害につながっている根本原因とは誰も気づいていないのではないかと思います。
システム開発を受託した事業部の事業部長とプロジェクトマネージャーが4月中旬に顧客の情報システム部長に基本設計の延伸をほのめかし、原因は顧客にありと一方的な通告をされた情報システム部長は苦境に立たされたのでした。4月には丁度役員が昇格する時期に当たり、全社挙げてのシステムリニューアルの計画が延伸するなどという報告は役員会では出来ない状況でした。情報システム部長は仕方なく計画は資料では予定通り進んでいると報告をせざるを得ないという、苦しい胸の内を私は聞かされたのでした。
この後、当然ながら顧客の役員会が終了して役員の昇格も決まった後に、基本設計の終了を当初契約の5月から6月末への延期を、システム開発を受託した事業部から一方的に押し付けられたのでした。これが7月、8月、9月へとどんどん延伸した状況は以前のブログで紹介した通りですが、延伸の原因はプロジェクトを仕切れないシステム開発を受託した事業部の責任であることは明らかでした。
システム開発を受託した事業部では基本設計終了時期が延伸しても費用は貰えると、気の弱い顧客のプロジェクトマネージャーや顧客の体質を見抜いていたので、大船に乗ったような気分で「仕方ないでしょう」というような余裕の高慢な態度でどぎまぎする顧客に費用を請求し、当初計画より売り上げや利益が自然にどんどんと増えて笑いが止まらないという状態になっていったのでした。
 
基本設計開始後、週次のプロジェクト会議で毎月月末に「終わりませんので期間を延伸します」とシステム開発を受託した事業部のプロジェクトマネージャーから顧客に一方的に報告されるばかりの状況に、当然ながら顧客の情報システム部長は怒り心頭でした。自分の部下であるプロジェクトマネージャーが呆然とするばかりで何の折衝もしないし対応もできない事に対しても少々怒ってはいるものの、自社都合の人事異動で決まったプロジェクトマネージャーなので変えるわけにいかずジレンマがあったようでした。
8月にはシステム開発を受託した事業部の基本設計の仕事量が減ったと見えて報告量が少なくなっているものの、システム開発を受託した事業部のプロジェクトマネージャーはさらに延長しそうな状態であることに顧客の情報システム部長が気づいてかなり焦っていました。この勢いでは基本設計は9月どころか年末までかかってしまうのではないかと想像される状況でした。

プロジェクトの延伸は自らの責任ではないとシステム開発を受託した事業部の事業部長やプロジェクトマネージャーが宣言したにも関わらず、毎月延伸されている状況に対して作業が遅れているという説明だけで一方的な期間延伸を宣言されている状況は、誰から見てもおかしな状態でした。顧客の情報システム部員たちも週次の会議の終了後「又、延長になりました」という感想を述べるだけで反論とかは殆どなく、システム開発を受託した事業部の報告する内容が事実と異なっていることに対してのみ反発するだけなので、システム開発を受託した事業部のプロジェクトマネージャーが「次回から改めます」と口先でその場をやり過ごして終わりになるのでした。信じられないような光景とはこういう事なのかというのを毎週目にしていたということでした。
8月末も近づくと、顧客の情報システム部長も危機感を強めて「こうなったら期限を切って基本設計を終わらせないと何時までも終わらない」と言って、基本設計の9月末終了をシステム開発を受託した事業部に宣告したのでした。これは、このプロジェクトでの唯一のまともな決断がされた時だと感じました。システム開発を受託した事業部の言いなりに基本設計を延伸し続ければ、多分12月末が基本設計終了と言いかねないと想像されました。基本設計の1月から5月の5カ月間の計画が、何と12月終了となれば計画に対して2倍以上の期間になり、とんでもない基本設計期間延長となるおそれがあったという事です。システム開発を受託した事業部では良い金づるが出来たとでも思ってどんどんと延伸して費用を貰う事を思いついたのかもしれません。

システム開発を発注したした側にとってみれば、大きな基本機能が1システム無くなった上に基本設計期間が倍以上になるとは思いもつかず唯々絶句すべき状況があったという状態でした。そういう状況でも、顧客の情報システム部員は、システム開発を受託した事業部のシステムエンジニアに対して怒りもせず、自ら淡々と余裕で残業にいそしんでいたという、何とも理解不能な状況を眼にしていました。
顧客の情報システム部長の英断が、自身の会社でこうむる損害を減らしたというのは大きな功績だと思いましたが、残念ながら社内ではあまり評価されないようでした。社内が役所体質で仕事の出来には差別がなく、論客であり行動力のある人は敬遠されたのではないかと思います。
システム開発を請負った事業部の言いなりになって基本設計を延伸してプロジェクト進めていれば、本番予定は翌年の12月末がこの基本設計遅れで半年延期されて5月になったのですが、更に半年伸びて当初計画から1年延期され、数億円も費用を請求されることになったと推測しています。